西原春夫氏と(左)高銘暄氏(右)
検討会では、高銘暄氏と西原春夫氏による中日刑事法学交流の回顧と総括が行われました。また、早稲田大学の山口厚教授と清華大学の張明楷教授が日中の刑法学の現状と未来をテーマにそれぞれ講演し、参加者からの質問を交えながらのディスカッションが行われました。
国際刑法学界のノーベル賞と呼ばれている「ベッカリーア賞」をアジアで初めて受賞した高銘暄氏は席上、27年間にわたる中日の刑事法交流を振り返って、「尊重し合い、友情を重んじ、互いの国家制度を軽はずみに評価しないなどという暗黙の了解の下で、終始友好的な雰囲気で開かれてきた。互いの理解を深め、比較研究において多くの収穫を得た交流だった」と話しました。
西原春夫氏は挨拶で、近年、両国関係に紆余曲折があったものの、中日刑法学界の交流は「びくともせずに」継続されていることに言及し、「創始者としてこれに勝る喜びはない」と話しました。その上で、自ら中国刑法学界との交流を推し進めてきたことのきっかけについて、「1945年夏の終戦時に17歳の少年としての私が考えたこと、過去の日本がアジアでしでかしたことの償いは何代にもわたって続けなければならない」と振り返り、「その実践を、私の生涯最後の仕事とする」と新たな決意を示して締めくくりました。