みずほ信託銀行が母体の安田基金は1991年に発足後、刑事法専攻の中国人学生の日本留学を支援してきました。同基金は2015年、新たに2人の奨学生を決めて解散するまで、支援した中国人学生は20人あまりに上ります。これら奨学生のうち、現在は中国の大学や研究所、弁護士事務所で活躍し、中国の刑法学界でも重要なポジションに就いている人も大勢います。
中日の刑事法学界の交流の歴史は1988年に遡ることができます。当時、早稲田大学総長だった西原春夫氏の呼びかけにより、「中日刑事法学術討論会」がこの年に初めて開かれ、交流のメカニズムは現在も続いています。「日中刑事法研究会」はこの交流の流れを踏まえた上、2001年に発足した団体です。同研究会は安田基金の奨学生の人選にも深く関わり、その後の中日の刑法学界における人的ネットワーク作りにも努めてきました。今回の検討会は、安田基金の解散および西原春夫氏と中国側パートナーで、高銘暄中国人民大学終身教授の米寿を記念するため開催されたものです。