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中国初の日本人大学教授、西村友作氏「人生はマラソン」
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-02-05 16:11:09 | 新華社 | 編集: 郭丹

  中国対外経済貿易大学の西村友作教授が新華社のインタビューを受ける(撮影/郭丹 孫益民)

【新華社北京2月3日】(記者/郭丹)「人生はマラソンのようなもの。目標の達成が即ち新たなスタートであり、次の目標に向けて走り続ける」中国対外経済貿易大学の西村友作教授はこのように語る。西村氏は先月、同大学で初の外国人教授に任命された。中国初の日本人教授が誕生した。

中国対外経済貿易大学の西村友作教授(撮影/孫益民)

  西村氏は約20年前、たまたま中国を訪れこの国に魅了された。中国へ留学し博士号を取り、キャリアを積み重ね、中国の大学教授の地位を手にした。西村氏は現在、中国語で大学院生を指導し、英語で世界の学術誌に論文を発表する。西村氏はどのように努力したのか。また改革開放の変化の中に身を置く西村氏は、中国の経済発展をどう見るのか。新華社の記者が取材した。

  ▽目標の達成には方法論が大切

西村教授を紹介する大学のホームページでは、英・中・日三ヵ国語で発表された論文が多数掲載されている。これも西村氏の研究結果の一部に過ぎない。

  西村氏は1995年、大学の交流プログラムで、当時改革開放の最前線だった深圳市を訪れ、その町に溢れる活気に魅了された。「中国のことをもっと知りたい」「これからの中国は必ず発展する」と考え、翌年中国へ留学した。教育熱心な教員や真面目な学生たちに感銘を受けた西村氏は、自分も「この国で大学教授を目指す」と決心した。

  西村氏は「色々な教授の経歴を調べた結果、大学で教授になるには、質の高い論文の発表が不可欠だと知った」と教授になれた理由を振り返り、方法論の大切さを強調した。西村氏は留学期間中、論文の書き方に関する書籍を研究し、論文の数と質を絶えず追求した。結果、博士課程2年の時に、中国教育部が主催する中国博士学術フォーラムで「優秀論文2等賞」を獲得した。受賞を契機に学校からも注目され、卒業後も講師として母校に残り「国際金融」「経済学研究方法と論文執筆」などの講義を中国語で行った。

  ▽運動中に深く考え思考力を鍛える

初マラソンから1年後の2017年2月、西村教授は故郷の熊本で開催された「熊本城マラソン」で初のサブフォーを達成した。(写真は西村友作氏より提供)

  小学2年の時からサッカーを続けてきた西村氏は、40歳を過ぎてマラソンを始め、2017年にはサブフォー(4時間切り)を達成した。西村氏は「健康な思考には健康な身体が必要」と語る。身体を鍛えるため今でも毎月約150キロ走り、中日両国で行われる様々なマラソン大会に参加する。

  マラソンをする目的は体力増進だけでなく、頭脳のトレーニングも兼ねるという。西村氏は「スマートフォン時代で、人との連絡が取りやすくなった一面、深く思考する時間が少なくなった。走っている時は1人で静かに深く考えることができる。それを楽しんでいる」と語る。

  ▽中国経済の見通しは楽観的

  中国経済を研究する西村氏は大学の教授以外に、日本銀行北京事務所の研究員も兼ねる。

  西村氏は「中国経済の見通しについて、私は非常に楽観的に見ている」と語る。

  西村氏は、国の経済はその国の経済政策と関わりが深いと述べ、中国政府はこれまで、非常に適切なタイミングで政策を実行してきたとの見方を示した。2015年に発表された供給側改革構造政策を例に挙げた西村氏は「中国経済は当時ニューノーマル(新常態)に入り、供給サイド構造改革に直面していた。供給サイドからみた経済成長の原動力は『労働力供給の増加』『資本ストックの増大』『要素生産性(技術水準)の向上』の3つの要素に分解できるが、2011年をピークに生産年齢人口が減少し始めた中国は、労働力供給の経済成長に対する寄与度もマイナスとなり、レバレッジ比率(債務残高のGDP比)も国際的に高い水準で、過度な投資拡大による資本ストックの大幅な増大も見込めなかった」と当時の状況を振り返り、中国経済がこのような中で中高速成長を維持するためには「生産性の向上が不可欠だった」と述べ「技術水準の向上に資する供給側構造改革はタイムリーな政策だった」との考えを示した。

  ▽中日交流の船頭になりたい

  「初心忘るべからず」ということわざは中国でも日本でもよく使われる。西村は初志をかえずに20年間走り続け夢を実現した。

  「次の目標は」と聞くと西村氏は「今まで学術論文を中心に執筆活動を続けてきたが、今後は日本の人々に分かりやすくリアルな中国を伝えたい。使命感を強く感じる」と語り、中日交流で「誰でも渡れる『架け橋』ではなく、互いに興味を持ち合う日本人や中国人をそれぞれの対岸に届ける『船頭』を目指したい。船は自分の努力で大きくできる」と述べた。

  人生のマラソン、西村氏は新たな目標をまた1つ立てた。

 

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