新華網北京7月13日(記者/郭丹)この間、莫邦富の『鯛と羊』という本が中国で出版され、北京に来られた。記者は莫邦富に対してインタビューした。
【記者】先生は日本で滞在して既に30年以上にわたったでしょう。その滞在経験からして、現在、日本人の中国に対する全体的な認識はどのようなものだとお考えですか?この30年で、この認識には変化があったでしょうか?その原因は何でしょうか?
【莫邦富】31年間の在日経験を振り返り、中国に対する日本の全体的な認識は実際に変化していると思います。例えば20年前に、私は日本で「北京の白菜」を描写した本を目にしました。冬に白菜を貯蔵する現象を通し、当時の中国の庶民の生活を描写し、これにより中国経済についての分析を展開していました。私は当時、日本人が「拡大鏡で中国を見ている」ことに非常に驚き、このように小さいものを通して大きいものを知る、深く分析する能力に感心しました。
しかし20年後、私は変化を感じました。ある時私は、友人たちを連れて、日本の街頭にある旅行社の入口で、旅行パンフレットを見ていました。素晴らしいパンフレットがたくさんある中で、中国本土の情報だけが見つからなかった、中国本土に関する旅行パンフレットは1冊も揃わなかったのです。このような店は1軒だけでなく、ほとんどすべての店で中国の情報は見られませんでした。ですから、もし20年前の日本が拡大鏡で中国を見ていたのであれば、現在の日本は中国に対して「見たくない」、「見るのを拒んでいる」という状態になっていると思います。
初め私は、中国の経済総量が日本を追い越したので、日本は心理的にそれに適応し、ショックから立ち直る期間が必要なのだと思っていました。しかし後になって、このように目を開いて強国を見るのを恐れている日本の心理は、中国に対してだけでなく、ヨーロッパやアメリカに対してさえも同じであることに気づきました。日本の若者の多くはもともと、外国に行きたくない、外国になど行けないと感じているのです!日本人が現在行きたいと思っている国は恐らく、タイ等の東南アジア諸国と中国の台湾だけでしょう。そこでは、尊敬されているという優越感を味わえるからです。
さらに、私がより深刻だと思う別の問題があります。それは、日本人の学習意欲が大きく衰退しているという点です。例を挙げると、来日当初から18年間、私は日本メディアから「外国人の観点から客観的に日本を見ると、日本の社会にはどんな問題が存在すると思うか、またどのような面で改善が必要か?」とよく尋ねられました。しかし現在では、日本メディアは「日本のどこがいいと思うか?」と聞くようになりました。日本に対する批判的な意見や提案など全く聞きたくないのです。このことから、私は日本の学習意欲が衰退しており、多くの場合、盲目的な自己満足が多くの日本人の目を欺いていると感じています。
【記者】中日両国の経済貿易交流が深まるにつれて、より多くの中国の情報が日本に伝えられ、ますます多くの企業が日本に対して投資業務を展開するようになっています。文化の角度から、日本への投資において注意しなければならない問題について教えていただけますか。
【莫邦富】対外投資において、対象国の文化的背景に対する理解が非常に大切だと思います。例えば、日本で投資を行うために中国から来た多くの友人をもてなしたことがありますが、彼らは日本に着くと、自分の背景がいかに立派か、資金がいかに豊富か……を語ります。でも、ある日本企業はこれらに興味があるわけではありません。ある日本の漁業会社の社長が一言、「私と提携したい、又は私の会社に資本参加したいのであれば、まず私から一匹の魚を買うことから商売を始めるべきだ。」と言ったことがあります。
このため、対外投資や企業間の買収、合併買収は単なる資金的な合併でしょうか、実際には文化的背景の結合、さらには従業員チームの再編成でもあるはずです。外国企業の従業員を自分の部下にし、彼らが自分のために努力し、戦ってくれるようにするのは、簡単なことではありません。
このほか、外国企業の買収に成功するかどうかにおいて、買収する企業のトップの人格的魅力が非常に重要だと考えます。
企業法人は、自分が代表しているのは自分個人の魅力だけでなく、一つの国の魅力をも代表していることをいつも銘記しなければなりません。社内で文化的な衝突が発生した場合、行政命令に頼るのではなく、トップの広い心で部下を感動させなければならない時の方が多いかもしれません。小さな分野から努力し、細部から着手するなら、買収後の企業再編をより円滑に行えるかもしれません。
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