新華網北京4月11日(記者/邵傑) シリア情勢は今、制御不能の瀬戸際に立たされている。化学攻撃の疑いが消えない中、米国の武力による対応が情勢をさらに複雑にした。シリアとイラクで活発に活動している過激派組織「イスラム国(IS)」はエジプトの2カ所の教会に対するテロ攻撃を行ったとの声明を出した。モスルとラッカでの「イスラム国」掃討作戦は停滞しており、テロリストが反撃する可能性はいつでもある。難民と人道主義の問題は時限爆弾のように、いつでも「爆発」する可能性がある。
化学攻撃事件とその後の情勢、注目すべきポイント:
まず、シリア及び中東の全地域で、化学攻撃を行う者たちはその目的を達成するためにはあらゆる手段を使ってくる。これらの勢力が今後も化学兵器を使用する可能性は排除できない。
第二に、米国、ロシア等の中東問題に関係する大国間と該当する地域の各国家間には、利益と衝突が複雑に錯綜しており、互いに疑念を抱き、信頼関係に欠ける。小さな挙動が局地戦争、ひいては大国の衝突を引き起こす可能性がある。暗闇に隠れた一部勢力は様々なチャンスを利用して騒動を引き起こし、衝突を激化させ、制御不能な情勢へと進むよう動かしている。
第三に、トランプ氏の米大統領就任以降、米国の中東政策はまだ固まっておらず、さらに突発的事態の影響を受けやすい。化学攻撃事件の発生以前、米政府はシリア政策を調整する意向を表明し、シリア政権の転覆を優先事案とみなさないとしていた。しかし、7日に化学攻撃への報復としてシリアを攻撃して以降、米国はすでに「イスラム国」掃討とバッシャール政権転覆を同等の重要な位置に据えている。
制御不能な情勢の恐ろしさシリア情勢が制御不能に陥った場合、シリア全体が無政府状態に陥り、全面的な混乱状態となって、大規模な教派が衝突することは避けられない。政府再建と法治の回復の作業は、各武装派間の激しい衝突のため、困難を極めるだろう。制御不能となったシリア情勢は恐らく、2003年のサダム政権崩壊後のイラクの情勢よりさらにひどいものとなるだろう。さらに深刻なことに、この種の混乱した情勢がテロリズムの発展における「肥沃な土壌」となる可能性が非常に高く、国際社会が反テロリズムのために多年にわたって払ってきた努力が水の泡となる恐れがある。人道主義の危機を招き、大規模な殺傷性をもつ武器の拡散がさらに進むことは言うまでもない。国際社会が速やかに有効な措置を講じ、全面的な調整を図り、冷静に対応しないなら、悪の勢力が作った罠にはまり、各国の民衆が待ち望む平和は水の泡と化すだろう。