北京市西城区鼓楼西大街にある紅丹丹視覚障害者支援ボランティアセンターには、「心目映画館」という一風変わった名前の映画館がある。この映画館に映画を観に来る人は、視覚障害を持つ身体障害者で、彼らは音声ガイドを聴きながら映画を鑑賞する。北京青年報が伝えた。
〇「心目映画館」は毎週土曜日に上映
2005年5月から現在まで「心目映画館」では、毎週土曜日の午前中に、ボランティアによる音声ガイド付映画上映を行っている。昨年3月5日、鼓楼西大街にある「心目映画館」では第575回目となる音声ガイド付映画が上映された。その際に視覚障害者のために上映したボランティアは全員、中央テレビ(CCTV)財経チャンネルのキャスターたちだった。彼らは、8年前から同映画館での音声ガイド付き映画上映活動を支えてきた。
当日、観客のために音声ガイドを担当したのは、財経チャンネルの謝穎穎キャスターだった。彼女は、「心目映画館」で視覚障害者のために映画音声ガイドを務めた財経チャンネルキャスター第一号だ。彼女の語りに誘われて、視覚障害者は彼女とともに、コメディ映画「ロスト・イン香港」の世界を堪能した。
2時間におよぶ上映の間、謝キャスターの語りは一度も止まることはなかった。謝キャスターが観客に映画の内容を語る一方で、他の11人のキャスターが別の部屋で視覚障害者のためオーディオブックを録音していた。このオーディオブックのおかげで、視覚障害者は、より多くの書物を読むことができて、それによって視野が広げることができるのだ。
財経チャンネルの馬洪涛キャスターは、「『心目映画館』では、毎週土曜が全て3月5日と同じように活動する。我々は、より多くの人々がボランティアとして参加し、身近にいる視覚障害者に関心と愛を持ってくれることを、切に願っている」と話した。
〇11年間で視覚障害者向け「音声ガイド付映画」を645回上映
紅丹丹視覚障害者支援ボランティアセンターは、2000年に設立。当時、テレビ番組制作・放送の仕事に携わっていた鄭暁潔さんは、夫の王偉力さんとともに、テレビ番組「生命在線」を制作し、身体障害者をテーマにしたドキュメンタリーを制作していた。撮影過程で、障害者の人々は社会から理解され、受け入れられることを強烈に望むその姿に、番組制作スタッフは大きく心を揺さぶられた。番組放送後、視聴者からも大きな共感が得られた。だが、制作者は、制作費の調達が難航したため幾度となく挫折を繰り返し、障害者に対する社会の関心や支持が、まだまだ不足していることを痛感した。そこで、鄭暁潔・王偉力夫妻は、「ペンを捨てて従軍する」ことを決心、宣伝・普及を職務とするマスコミ業界から、障害者サービスの第一線へと身を転じた。
視覚障害者は、他の身体障害者とは異なり、視覚に障害がある。紅丹丹視覚障害者支援ボランティアセンターのボランティアチームは、様々な実践を試みた末、視覚障害者の基本的ニーズを満たす手段として、「音声ガイド」という方法に辿りついた。それ以来、視覚障害者とともにこの世界を観ることが、ボランティアチームの使命となった。
2005年から2016年末までに、累計645回の音声ガイド付映画が上映され、延べ5825人のボランティアが参与し、延べ1万7709人に上る視覚障害者が鑑賞した。
〇視覚障害を持つ読者に開放された「心目図書館」
2009年から、紅丹丹視覚障害者支援ボランティアセンターは、日本点字図書館が提供する、デジタル録音図書「DAISY」の制作技術に関する全面的なトレーニングを受けられるようになり、紅丹丹職員とボランティアの中心メンバーで構成された技術チームが発足した。また、デジタル図書録音ボランティアチームも発展の一途をたどっている。「心目図書館」がオープンした2011年1月29日から2016年末までに、「DAISY」デジタル図書747冊とオーディオブック141冊が完成、全国の視覚障害者に閲覧サービスを提供してきた。このようなサービスを利用した視覚障害者は、全国101の盲学校で学ぶ7293人を含む、累計延べ4万8536人に上る。
(人民網日本語版)
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