日本経済は果たして好転したのだろうか。政府の回答と民間の回答には食い違いがある。「国際商報」が伝えた。
政府の回答をみてみよう。日本の内閣府が2月13日に発表したデータをみると、インフレ調整後の2016年第4四半期(10-12月)の国内総生産(GDP)の実質成長率は0.2%で、年率換算では1%となり、4四半期連続の経済成長となった。13年以降で最も長く続く成長周期でもある。同じ日に発表された別のデータでは、昨年第4四半期の名目GDP成長率は前期比で0.3%、年率換算で1.2%だった。15年度(15年4月~16年3月)の実質GDP成長率は1.3%で、14年度のマイナス0.4%から大幅に改善した。
民間の感じ方はどうか。日本メディアの報道によれば、共同通信社が16年11月から17年1月にかけて行った地方自治体へのアンケート調査の結果、経済情勢が1年前より「好転した」と答えた自治体は15%で、「少しだけ変化した」の13%は上回ったが、「変化なし」は66%だった。この調査は都道府県、市町村、東京23区の1788の地方自治体を対象に行われ、96.2%にあたる1720自治体から回答を得た。地方自治体の66%が経済は足踏み状態にあるとみており、ここから日本経済に強い勢いのないことがわかる。
官と民の食い違いをもたらした重要な原因は、日本が16年に国際連合の国民経済計算(SNA)の新基準を導入したことにある。新基準では、GDPの計算で初めて研究開発(R&D)、特許、版権に関わる費用がすべて投資として組み込まれることになった。統計によると、日本のR&D費用の対GDP比は現在世界一で、企業が主導するR&Dの費用がR&D費用全体に占める割合も世界一だ。科学技術分野のコア特許のシェアも世界一で、80%以上を占め、特許授権率は80%に達する。こうしたことが新基準の下で日本のGDP成長率を引き上げた。英国紙「フィナンシャル タイムズ」は、「統計方法の変更により、日本で算出された2015年の経済規模は499兆円から531兆円に増え、6.3%増加した」と伝えた。
だがこの高い増加率の数字は庶民の感覚とはかけ離れている。日本経済の長期的な構造の問題、たとえば高齢化や少子化による労働力人口の減少、コアインフレ率の低迷、個人消費意欲の低迷といった問題は、計算方法の変更で変わるようなものではない。こうした問題は民間で日本経済が好転していると実感できない理由でもある。
世界銀行も日本政府に冷や水を浴びせた。世銀がこのほど発表した予測によると、日本経済の17年の成長率は0.9%で、16年の1.0%を下回った。このような予測を打ち出した理由として、量的緩和政策の効果が薄れてきたこと、財政活性化策により負債が山積みになっていること、構造改革が従来からタブーとされてきた領域をうち破れずにいることなどが挙げられた。
アベノミクスの不振も日本経済が好調とみなされない理由の一つだ。実際、アベノミクスがスタートした当初から、「短期的な経済成長の喚起に過ぎず、長期的にみれば、日本経済の構造に横たわる昔ながらの問題を改善するには至らない」との見方が出ていた。今、こうした見方が現実のものになりつつある。日本銀行(中央銀行)は一連の量的緩和政策を打ち出し、さらにはマイナス金利政策まで実施したが、今後のインフレ観測は振るわず、住宅ローンなど個別の分野で貸出が増えたほかは、企業の設備投資も個人消費もますます慎重になり、政策は「流動性の罠」に陥った。インフレ水準は16年3月にプラスからマイナスになり、デフレが進行している。
日本政府は経済を牽引するために、経済活性化プランを打ち出し、投資を増やして経済発展を導こうとしたが、これがかえって債務レベルを上昇させた。2月24日にスタンダード&プアーズが発表したデータでは、日本の債務水準はGDPの254%に相当し、ギリシャを抜いて世界最悪となっている。
円高が日本の輸出企業の利益を圧縮したため、企業からの税収で財政赤字を補填することができなくなり、こうした事態が今後の日本の債務水準をさらに上昇させるとみられる。さらに悪いことに、米国にトランプ大統領が登場して「米国第一主義」を掲げ、米国製品を買うよう奨励していることも、日本の対米輸出に一定の影響を与えることが予想される。トランプ大統領はさきに米国の貿易赤字を減らすと約束し、日本が非関税障壁や円安誘導により貿易で優位に立っているのは不公平だと名指しで批判した。トランプ大統領が対米貿易で黒字の貿易パートナーに何らかの措置を執り始めれば、日本も逃れることはできない。米国商務省のデータによると、16年の米国の貿易赤字は5022億5千万ドル(約57兆3268億2千万円)に上り、米国に貿易赤字をもたらした国の中で、日本は2番目に位置する。
経済の処方箋を求める中で、日本政府は一貫して国内消費の牽引をやめようとはしない。というのもGDPに占める個人消費の割合が60%前後に達するからだ。日本の政府と経済界は2月24日に消費喚起キャンペーン「プレミアムフライデー」を初めて打ち出し、サラリーマンが毎月最終金曜日に仕事を早めに切り上げ、消費活動を行うことを奨励した。商店やホテルはお得な商品や体験イベントを豊富に準備して対応した。だが企業が賃金引き上げに慎重で、賃金が大きく増える見込みはなく、世帯支出も切りつめられる中、消費支出を増やそうとしてもそれに応えるだけのエネルギーが不足している状況は誰の目にも明らかだ。
以上のようなことから、日本経済が実際に好転するにはまだ相当長い道のりを歩かなければならないとわかる。
(人民網日本語版)
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