英メディアによると、世界で今ほど食の多様性が高まっている時代はかつてないという。たとえどんな小さな町でもインド料理店や日本のすし屋や中華レストランを目にすることができる。大きな都市ともなればアフリカのパン、韓国のビビンバ、ヨルダンのババガヌーシュ、四川の麻婆豆腐、メキシコのチリソース、イタリアのスパゲッティ、ベトナムのビーフンなど、およそ世界中の食べ物でないものがないという状況である。
しかし17日付けの英BBC(オンライン版)によると、そうした外国の名前のつけられた料理が、実はその国の発祥でなく、それ以外のもっと身近な場所で考案されたものであることがある。その名前の実際の国には、その料理が存在しないのである。
その代表例が、アメリカやその他の国で人気の高い左宗棠鶏(ツォ将軍のチキンGeneral Tso's Chicken)という名の中華料理。揚げた鶏肉に甘辛いタレをかけたもので、一般的に湖南料理と捉えられている。しかし実際には湖南省はおろか、中国の他の都市にも存在しない料理である。味も本場の湖南料理と全く異なっている。
焼きそばサンドイッチという名の中華料理にも同じことが言える。この両側のパンに焼きそばを挟みこんだ料理は、20世紀中ごろ、米マサチューセッツ州のある中華レストランがカロリーが高く値段の安いランチメニューとして出したのがその始まりである。
アメリカの多くのエリアで人気のチャプスイは、中国広東省の西部地区からアメリカに移った人たちが作ったと言われている。しかし他の西欧で流行している中華料理と同様に本国にその原型を見ることはできない。世界の他の都市で作られるチャプスイは、もやしと千切りの肉を強火で炒め、濃厚な汁をかけたバラエティ料理の代名詞である。一方アメリカのチャプスイはそれとはやや材料が異なるもので、ニューイングランドの多くの教会の夕食に供されている。
世界の食いしん坊が作るこうした創作料理は中華料理だけではない。カレーとチキンを原料とするチキンティッカを多くの人はインド料理と思っているが、実際にはイギリスが発明したイギリス料理である。ピザについても、現在のようなイタリアのグルメの象徴になるまでには、多くの歴史的な過程を経ている。こうした本国のもともとの味と、その後の変遷によって味が大きく変化することを、専門用語で「ピザ効果」と呼ぶ。そしてこうした変化に、もともとの国の人たちは戸惑いを持ち続けることになる。
(チャイナネット)
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