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ミュンヘン安全保障会議:欧米関係の風見鶏
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2017-02-16 10:25:05 | 新華網 | 編集: 张一

  新華網ウィーン2月16日(記者/劉向)年に一度のミュンヘン安全保障会議(MSC)が間もなく開催され、欧米の多数の国の政府要人が会議に出席する。欧州一体化、北大西洋条約機構(NATO)の役割及び対ロシア政策などの欧州の核心的利益に関わる課題について、欧米双方がどのような最新のシグナルを発信するのかが注目される。

  米国のトランプ大統領のこれまでの欧州連合(EU)衰退、NATOへの疑問視、ロシア寄りなどの発言はEUのボーダーラインと価値基準に抵触している。今回のミュンヘン安全保障会議(MSC)は、欧米の互いに内情を探り合う重要な機会になると見られる。

  

  ポイント1:欧州一体化

  ドイツ・メルケル首相は先週、ミュンヘン安全保障会議に参加することを最終的に確定し、ペンス米副大統領と会談する見通しだ。ドイツはEUのリーダーに値し、独米の関係は欧米の関係に直接影響を及ぼすことになる。

  トランプ大統領の執政政策はポピュリズム色を備え、グローバル化に反対しており、その価値観はドイツを含む大多数の欧州諸国の指導者とは明らかな違いがある。この影響を受け、米欧関係に奥深い調整がかなりの確率で現れるだろうが、調整は短期間のうちに決まられた型にはならず、柔軟性のある空間が存在するものと予想される。

  このような前提のもと、ペンス米副大統領などの高官が欧州の指導者とミュンヘンで会談することは欧州にサプライズをもたらすことはないはずだが、双方が膝を突き合わせて会合することは、互いの理解を増進させ、米国の政策立案者に欧州の核心的利益とボトムラインを知らせるのに役立つだろう。

  

  ポイント2:NATOの地位

  トランプ大統領は以前北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟はすでに「時代遅れ」だと発言し、大西洋の両岸を騒然とさせた。就任後、トランプ大統領はNATO問題で一定程度の譲歩の意を表し、NATOの重要性を認めている。しかしその条件とは、NATOがテロ対策を強化し、米国以外のNATO加盟国が軍事支出を増やすことだった。

  1月28日、トランプ大統領とメルケル首相は電話会談で合意に達し、NATOは大西洋を越えた関係に「基礎的な意義」があることを認めている。

  アナリストは次のようにみなしている。トランプ大統領は戦略上、NATOの地位と役割を引き続き認めるだろうが、実際には、トランプ政権時代には、NATOの地位の弱体化は避けられないものとみられる。その原因は、トランプ大統領の戦略的考量において、米ロ関係の改善が比較的明確な訴求であることにある。米ロ関係が改善されれば、NATOは重要な「仮想の敵」を失い、その重要性は自然に低下するだろう。

  

  ポイント3:対ロシア関係について

  1月28日にトランプ大統領はロシアのプーチン大統領と1時間にわたる通話を行い、米ロ関係を再スタートし改善させる強いシグナルを放出した。欧州諸国は、いったん米ロ関係に重大な転換が現れれば、米国は対ロ制裁を解除し、欧ロ関係に必ず影響を及ぼして、欧州の地政学上の戦略構造を変えるのではないかと懸念している。

  欧州は地政学上直接ロシアに向き合っている。ロ欧間の矛盾が長年にわたって続いたことから、双方は互いに信頼せず、戦略の相手となり、欧州の一部の国にはロシアを妬み、恐れ、ロシア排除を望む心持ちが存在する。ウクライナ危機の勃発後、欧州と米国はロシアに経済制裁を実施し、欧ロ関係は落ち込んだ。

  トランプ大統領は米ロ関係の改善を望んでいるが、両国の多くの問題には矛盾もあり、食い違いが幾重にも重なっている。また米ロ関係の変化は、欧州に影響を及ぼす見通しだ。トランプ大統領がロシア制裁の問題でロシアと取引を行えば、欧州の核心的利益に直接関わってくるだろう。

  アナリストは次のように指摘する。現在の状況から見て、今回の会議では米国の対ロ政策に関して実質的な調整を行うという情報を伝えることはない。今回の安全保障会議は欧米が互いに内情を探り合う場を与えたにすぎない。また、トランプ大統領は就任して1カ月もたたないうちに、その新政が多くの紛争を引き起こしており、施政戦略の調節やホワイトハウスチームの擦り合わせがトランプ大統領の最も重要な任務となるだろう。

 

(新華社より)

 

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ミュンヘン安全保障会議:欧米関係の風見鶏

新華網日本語 2017-02-16 10:25:05

  新華網ウィーン2月16日(記者/劉向)年に一度のミュンヘン安全保障会議(MSC)が間もなく開催され、欧米の多数の国の政府要人が会議に出席する。欧州一体化、北大西洋条約機構(NATO)の役割及び対ロシア政策などの欧州の核心的利益に関わる課題について、欧米双方がどのような最新のシグナルを発信するのかが注目される。

  米国のトランプ大統領のこれまでの欧州連合(EU)衰退、NATOへの疑問視、ロシア寄りなどの発言はEUのボーダーラインと価値基準に抵触している。今回のミュンヘン安全保障会議(MSC)は、欧米の互いに内情を探り合う重要な機会になると見られる。

  

  ポイント1:欧州一体化

  ドイツ・メルケル首相は先週、ミュンヘン安全保障会議に参加することを最終的に確定し、ペンス米副大統領と会談する見通しだ。ドイツはEUのリーダーに値し、独米の関係は欧米の関係に直接影響を及ぼすことになる。

  トランプ大統領の執政政策はポピュリズム色を備え、グローバル化に反対しており、その価値観はドイツを含む大多数の欧州諸国の指導者とは明らかな違いがある。この影響を受け、米欧関係に奥深い調整がかなりの確率で現れるだろうが、調整は短期間のうちに決まられた型にはならず、柔軟性のある空間が存在するものと予想される。

  このような前提のもと、ペンス米副大統領などの高官が欧州の指導者とミュンヘンで会談することは欧州にサプライズをもたらすことはないはずだが、双方が膝を突き合わせて会合することは、互いの理解を増進させ、米国の政策立案者に欧州の核心的利益とボトムラインを知らせるのに役立つだろう。

  

  ポイント2:NATOの地位

  トランプ大統領は以前北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟はすでに「時代遅れ」だと発言し、大西洋の両岸を騒然とさせた。就任後、トランプ大統領はNATO問題で一定程度の譲歩の意を表し、NATOの重要性を認めている。しかしその条件とは、NATOがテロ対策を強化し、米国以外のNATO加盟国が軍事支出を増やすことだった。

  1月28日、トランプ大統領とメルケル首相は電話会談で合意に達し、NATOは大西洋を越えた関係に「基礎的な意義」があることを認めている。

  アナリストは次のようにみなしている。トランプ大統領は戦略上、NATOの地位と役割を引き続き認めるだろうが、実際には、トランプ政権時代には、NATOの地位の弱体化は避けられないものとみられる。その原因は、トランプ大統領の戦略的考量において、米ロ関係の改善が比較的明確な訴求であることにある。米ロ関係が改善されれば、NATOは重要な「仮想の敵」を失い、その重要性は自然に低下するだろう。

  

  ポイント3:対ロシア関係について

  1月28日にトランプ大統領はロシアのプーチン大統領と1時間にわたる通話を行い、米ロ関係を再スタートし改善させる強いシグナルを放出した。欧州諸国は、いったん米ロ関係に重大な転換が現れれば、米国は対ロ制裁を解除し、欧ロ関係に必ず影響を及ぼして、欧州の地政学上の戦略構造を変えるのではないかと懸念している。

  欧州は地政学上直接ロシアに向き合っている。ロ欧間の矛盾が長年にわたって続いたことから、双方は互いに信頼せず、戦略の相手となり、欧州の一部の国にはロシアを妬み、恐れ、ロシア排除を望む心持ちが存在する。ウクライナ危機の勃発後、欧州と米国はロシアに経済制裁を実施し、欧ロ関係は落ち込んだ。

  トランプ大統領は米ロ関係の改善を望んでいるが、両国の多くの問題には矛盾もあり、食い違いが幾重にも重なっている。また米ロ関係の変化は、欧州に影響を及ぼす見通しだ。トランプ大統領がロシア制裁の問題でロシアと取引を行えば、欧州の核心的利益に直接関わってくるだろう。

  アナリストは次のように指摘する。現在の状況から見て、今回の会議では米国の対ロ政策に関して実質的な調整を行うという情報を伝えることはない。今回の安全保障会議は欧米が互いに内情を探り合う場を与えたにすぎない。また、トランプ大統領は就任して1カ月もたたないうちに、その新政が多くの紛争を引き起こしており、施政戦略の調節やホワイトハウスチームの擦り合わせがトランプ大統領の最も重要な任務となるだろう。

 

(新華社より)

 

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