新華網北京12月28日(記者/劉秀玲)日本の安倍首相は26日、東京からハワイの真珠湾に向けて出発し、間もなく任期を終える米国のオバマ大統領と最後の首脳会談を行い、アリゾナ記念館で「謝罪のない」慰霊行事を催す。
日本政府は国内でこの訪問を大規模に宣伝し、真珠湾訪問を日米の「歴史的和解」の象徴にすることを期待しているが、民間からの疑念、忠告及び冷ややかな視線による傍観は一刻も休むことなく続いている。
【日米の専門家が一斉に質問を提起】
53人の日米の学者は25日、公開状を連名で発表し、安倍首相の真珠湾訪問を前に、その歴史認識問題について質問を投げかけた。
公開状は「真珠湾は日本が攻撃した唯一の場所ではない」と指摘し、安倍首相の2013年国会答弁の際の「侵略に明確な定義はない」という発言に触れ、「日本が反ファシズム同盟国、太平洋沿岸諸国及び中国に対する戦争が侵略戦争だったことを認めないかどうか。」と安倍首相に問いかけた。
公開状はまた、安倍首相の真珠湾訪問に合わせて、「中国、朝鮮半島、その他の太平洋沿岸諸国及びその他の反ファシズム同盟国を訪問し、数千万人に及ぶ戦争犠牲者を慰霊する意向はあるか。」と質問している。公開状はさらに、安倍首相の「侵略行為」及び「植民地支配」に対する歴史認識に警鐘を鳴らしている。
【日本の元兵士は「パフォーマンス」に不満を示す】
「私の眼には、人気を得るためのパフォーマンスに映る。戦死した戦友たちが喜ぶはずはない。」真珠湾襲撃に参加した日本の元兵士はこのほど、『毎日新聞』の取材に応じた際にこう語った。
今年95歳の元兵士、滝本邦慶さんは、1941年に整備兵として空母「飛龍」に乗り込み、真珠湾襲撃に参加した。翌年6月、滝本さんは日米のミッドウェー海戦で負傷し、九死に一生を得た。
安倍首相は真珠湾を訪問して慰霊すると聞くと、滝本さんは「安保法にしても、特殊秘密保護法にしても、安倍首相がやることは米国のご機嫌取りで、ハワイ訪問もそのうちの一つだ。」と憤慨して語った。
【あちらこちらから質疑の声が上がる】
真珠湾訪問を発表した当初、日本のメディアは政府の見解を引用し、安倍首相の今回の訪問を「現任首相として初めて」と報じたが、その後に確認したところ、安倍首相の前に3人の日本の首相が真珠湾を訪問しており、安倍首相の祖父の岸信介元首相も含まれている。雑誌『日刊ゲンダイ』は、いわゆる真珠湾訪問は安倍首相の祖父を「模倣」したものに過ぎないと指摘している。
元外交官の天木直人氏は『日刊ゲンダイ』の記者に「メディアがほとんど報じない状況から、今回の安倍首相とオバマ大統領との会談は本当に実質的な内容がないことがわかる。巷で伝えられているように、安倍首相は先日、慣例を破って米国の次期大統領のトランプ氏と会見した過失を補うために、真珠湾訪問を計画したのだろうか。」と述べ、また「首脳会談はどんなテーマになるのか。オバマ政権と次期トランプ政権は核兵器問題において意見が全く逆で、最終的な結果は北方領土と同じだ。いわゆる安倍外交はいつも出口が見えない。」と説明した。
『日刊ゲンダイ』は、次のように評じている。トランプ氏が安倍首相がオバマ政権の有終の美を飾る引き立て役を演じる様子を見たとき、日本にさらに厳しい要求を提示する可能性もある。安倍首相の「行き当たりばったりの外交」は日本の国益を損なうだけだ。
(新華社より)
関連記事: