中国の送電最大手、国家電網公司が日本と韓国、インドを結ぶ国際送電網の構築を模索しているもようだ。日本の産経新聞グループの総合経済情報サイト「SankeiBiz」(サンケイビズ)が4日付けで報じた。
米大手総合情報サービスのエネルギー市場調査部門、ブルームバーグ ニュー エナジー ファイナンス(BNEF)が今月1-2日に上海市で未来エネルギーサミット(the future of energy summit)を開催。この会議に出席した中国とタイ、モンゴルのエネルギー政策担当者は、アジア地域の送電網連結のメリットについて、「電力コストを削減できるほか、再生可能エネルギーの利用実現に向けて送電網を柔軟に活用できる」と強調したという。
国家電網公司の張啓平 総工程師(チーフエンジニア)はこの席で、インドや東南アジアなどの電力不足地域に電力を輸出できると意欲をみせた。
同社の王敏副総経理(副社長)は、「アジア地域のエネルギー需要は急速に拡大しており、国際的なエネルギーネットワークにおいてアジアは重要な構成部分になる」との見方を示した。
こうした発言には中国政府のバックアップがあると同紙は指摘する。王副総経理は「こうした試みは中国政府が2015年9月に打ち出した電力業界の大気汚染削減目標にも合致する」と説明。電力インフラ建設の国有大手、中国電力建設集団の姚強副総経理は、「地域間で連結する送電網が稼働すれば、地球温暖化対策を進める国際的な枠組みとして昨年採択されたパリ協定が定める排出量の上限目標を各国が達成するのに役立つ。化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は阻止できない流れとなっている」と強調した。
中国の電力業界が連結送電網の整備に軸足を置くようになったのは今年3月のことだ。国家電網公司はこの時、日本のソフトバンクグループが打ち出したアジア各国を送電線で結ぶ「アジアスーパーグリッド構想」への参画を決めた。ソフトバンク、韓国電力公社(KEPCO)、ロシア グリッド(ROSSETI)と北東アジアで国際的な系統連結を推進するための実地調査、企画立案を目的とした覚書を締結した。
王副総経理は、国から国へ、大陸から大陸へ送電するための国際的な超高圧送電網についても提案しており、2050年までの稼働開始に向け、50兆ドルの費用を見込んでいる。
BNEFの創業者、マイケル リーブライヒ会長は上海で、「技術的な課題が山積している」と懸念を表明。「送電距離が長ければ長いほど、障害が発生したり、壊滅的な影響を受けたりするケースは増える」として、こうした問題を解決する必要性を指摘した。
同紙はまた、自然エネルギーの活用に向けて国際送電網の構築をめざす国家電網公司が設立した非営利団体、「グローバル エネルギー インターコネクション発展協力機構」(GEIDCO)の王益民 事務総長は、「中国にとって国際的な系統連系はスマートグリッドと超高圧送電線、クリーンエネルギーを結びつけるものになる」と指摘。同氏は、技術的に実現可能だとした上で、「GEIDCOは中国東部から韓国、その後日本へ送電するための計画立案を年末までに予定している」と述べ、意気込みをみせた。
(チャイナネット)
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