昨年4月、東京大学を卒業した高橋さんは日本の大手広告代理店の電通に入社。ネットワーク広告業務を担当していた。しかしそのわずか8ヵ月後、過重な残業のプレッシャーに耐えられず、自殺によって24歳という若い生涯を終えた。このほど、日本の労働基準監督署は彼女の死を労災認定した。自殺するまでの1ヶ月間、彼女の残業時間は105時間に達し、その結果彼女はうつ病を発症した。
経済の高度成長期の時期に生まれた「過労死」問題は30年間にわたり、日本社会を悩ませ続けてきた。日本政府は10月7日「過労死等防止対策白書」を初めて発表。白書は、厚生労働省が1万社の企業の2万人の従業員を対象に行ったアンケート調査の結果として、次のようなデータを掲載した。
◇2015年の正社員の1ヶ月の残業時間が80時間を超える企業の占める割合は23%、そのうち自身の感じる疲労度が「高い又は非常に高い」と答えた社員は32.8%。
◇「睡眠時間が不足している」と答えた社員は45.6%。
◇残業が多い業種を見ると、最も多いのが「情報通信業」で44%。「学術研究・専門技術サービス業」が41%、「運輸・郵便業」が38%。
◇毎月の残業時間が45時間を超える企業の中で「運輸・郵便業」は14%に達する。
白書はまた、過労死の労災認定が極めて困難であると指摘。厚生労働省が2015年に認定した過労死自殺(未遂含む)はわずか93件に過ぎないが、警察庁と内閣府が発表したデータによると、2015年に仕事が原因による自殺件数は2159件に上っている。
労働時間の長さは労働効率の高さを意味するものではない。日本の会社員の年間労働時間は2000時間を超えるが、ドイツは1300時間、フランスは1400時間である。これに対し、日本の会社員の労働生産性はG7の中で最低。2014年の日本の会社員の1時間当たりの付加価値生産額は41.3ドルとアメリカの6割に過ぎない。
過労死問題は1980年代の後半から注目されるようになった。1988年、日本は労働基準法で1週間の労働時間を原則40時間と定めた。同年、過労死ホットラインも設置された。2005年には「労働時間の設定の改善に関する特別措置法」を改定、企業に労働時間の短縮だけでなく、フレックスタイム制の導入などの各種の労働条件の改善を求めた。2014年11月には「過労死防止法」を実施し、過労死の解決を中央政府の職責と定めた。
日本経済新聞は、過労死問題を解決するには労働時間によって報酬を決定する制度を改善するとともに、労働効率・成果を重視することが必要と指摘。国会では「勤務形態改革」が論議されており、企業に在宅勤務やフレックスタイム制の導入を働きかけ、従業員の仕事と生活の両立を図ろうとしている。
(チャイナネット)
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