この夏、日本の至るところに立花瀧と宮水三葉のポスターが貼られていた。新海誠監督の新作長編アニメーション映画「君の名は。」は、上映前からすでに大いに話題を集めていた。(文:呉杭。在日華字紙・中文導報掲載)
同作品の公開前に製作された精緻で美しいアニメーションと高い水準の編集技術が駆使された宣伝用の予告編は公開と同時に各大手ネットプラットフォームをたちまち席巻した。また、正確で巧みな方法で多くの人の目を釘付けにし、多くの映画ファンの注目を集めた。同作品は単調でつまらない田舎に住み、東京の華やかな生活に憧れる女子高生・宮水三葉と、東京で生まれ育った男子高校生・立花瀧の体がある日突然入れ替わってしまうというストーリー。さまざまな種類の作品があふれる今の時代において、このような設定はすでにありふれており、それほど人を惹きつけるような作品となるとは思えないかも知れない。しかし、「君の名は。」は上映わずか2日目で興行収入7億円を突破した。どの劇場も満員で、チケットの入手は困難となり、この夏一番の話題となった。同作品が成功した大きな要因は、その秀逸な宣伝手段にあったと言える。
映画は現実の東京を舞台としており、ストーリーの中で主人公たちが訪れる新宿、四谷、千駄ヶ谷などの駅構内に大きな宣伝ポスターを貼ることで、映画上映後に映画ファンたちが舞台となった場所の「聖地巡礼」ができるようにしている。こうすることで、まるで自分たちが映画のストーリーに入り込んだような気分にさせ、二次元の壁を越えるというロマンチックな手法がネット上で急速に広まってブームになり、映画の人気をさらに押し上げた。その後、「君の名は。」はニュースや、サントリーの天然水とコラボしたCMなどで取り上げられ、多くの人が頻繁に目にするようになった。
それだけでなく、製作スタッフは同作品の正式上映前に、先行上映で観た人を取材し、ネット上に彼女たちが感動の涙を流しながら作品を高く評価する動画を投稿した。これは、まだ観ていない人の好奇心と注目度を上げるのに効果的な手段となった。