2016年1-9月期、中国は米国を抜き、海外資本のM&A(合併 買収)額で世界最大の国となった。しかし、M&A件数ではトップとはならなかった。
ロシア スプートニクによると、中国企業の2016年1-9月のM&A取引件数は601件、前年同期は441件に過ぎなかった。中国企業による海外M&A額は1739億米ドルで、前年同期を68%上回った。調査会社ディールロジックのまとめによると、海外M&A市場は2008年からこれまで米国がリードしてきたが、新たな大型多国籍企業の買い手市場では中国のシェアが30%を越えた。第2位はカナダの20%、米国のシェアは16%だった。
ファンド市場管理研究所のチーフエコノミスト、ミハイル ベリャーエフ氏は、「中国政府は数十年に渡り、政治、経済、組織面で、経済改革と海外志向を連動させることに注力してきた。中国は海外市場での融資を続け、直接投資、混合型投資も活発に行ってきた。M&A市場への参入は海外での積極的な活動の方向性の1つに過ぎない」としている。
今年2月、中国企業は海外で最大の買収取引を行った。中国化工集団は430億米ドルでスイスの農薬大手シンジェンタを買収。中遠集団はギリシャのピレウス港の運営会社の支配権を取得。注目すべきは、この中国企業2社の買収額が市場予想を大きく上回ったことだ。中国はこのような手法を通じて、影響力のある資本のM&Aを進めている。
一方で、中国からの投資を受け入れる国、米国やオーストラリア、EUの監督管理部門が、国家の安全保障上の利益や中国による市場独占の危険性を考慮し、取引を承認しない場合もある。これが原因で、中国企業の取引が流れることも多い。一例をあげると、中国が投資する大康オーストラリアによる豪州牛肉大手S キッドマン社の買収は、まだ承認されていない。中国のハイテク企業 清華紫光集団は米国のウエスタンデジタルを38億米ドルで買収する計画であるほか、華潤微電子と華創投資も25億米ドルで米国の半導体メーカーフェアチャイルド社の買収を狙っているが、いずれも成功していない。
(チャイナネット)
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