G20サミットにより杭州は世界が注目する「真珠の都市」になった。杭州の美しさは、西湖にある。西湖は多彩でさまざまな姿を見せる、都市の輪郭を浮かび上がらせるからこそ美しいのだ。碧緑の湖水、高くそびえ立つ雷峰塔、それから青々とした山、峰々にかかる霞。
これほど美しい輪郭を持つ都市は、減少を続けている。
都市の美しさは細部だけではなく、大きな部分からも反映されなければならない。近い所だけではなく、遠い所からもだ。都市の中で遠くを眺めると、高低差があり適度に密集した、巧みに配置されている今と昔の建築物の向こうに、近くの湖水、遠くの山々の輪郭、さらに遠くの太陽、月、星々を見ることができる。そうすれば人と自然、歴史と現代が渾然一体した融合を感じ取り、あっさりした飾り気のない美を楽しむことができる。このような輪郭は目に美しく、心を酔わせる。
ところが一部の都市は、輪郭という風景をなおざりにしがちだ。
例えば、私たちの都市は背が伸びている。高層ビルが高ければ高いほど、都市が現代的であるかのごとく。そのため、数万人しか住んでいない町でも、数十階建ての高層ビルをずらりと並べて建設する。建築物が高くなり増加することで、市街地の伝統的な塔や楼閣が埋もれてしまい、市外の山々も見えなくなってしまう。美しかった川や湖も高層ビルに囲まれ、ただの水たまりになってしまう。都市は高層ビルのジャングルのようで、人々はどこに目を向けても鉄筋コンクリート製の建築物の輪郭しか見て取れない。
例えば、私たちの都市は密集している。都市では土地資源が貴重であり、すべてを高層ビルにして空間をフル活用しなければ、まるで無駄になるかのようだ。山、海、湖、川沿いのテナントビルが密集し、風を通さない高い壁のようだ。この都市の壁は、人々の視線を遮り、都市の輪郭を損ねている。高さと低さが調和した輪郭は、果てしないビルの壁に変わり、都市を殺風景にしている。
都市建設に輪郭という意識がなければ、人々の審美感を鈍らせる。都市も二度と美の損失を取り戻せなくなるだろう。
輪郭は「都市風景の絵葉書」と呼ばれる、都市の美しさだ。都市が美しい少女だとするならば、輪郭はそのたおやかなスタイル、身にまとう美しい衣装のようなものだ。私たちはスタイルの美しさを求めると同時に、その自然な曲線美を示す衣装を作り、適度に肌を見せなければならない。英国南部にあるポーツマスショッピングセンターは、有名な現代建築家のOwen Luderがデザインした、最も有名な建築物だ。ところがその後「最悪の建築物」に選ばれ、取り壊された。王立英国建築家協会会長は、品のない建築物に品がないのは、人々の視線を汚し、圧迫感を与え、環境を損ね、人の寿命を縮め、やる気を奪い、頭の中を真っ白にするからだと述べた。
当然ながら、都市の輪郭は千篇一律ではなく、現代的な建築物をすべて排除すればいいわけではない。重要なのは都市の特長と結びつけ、自然を尊重しそれに順応し、天人合一の理念を示すことだ。元からある山水の脈絡といった独特な風景により、その都市にしかない美を示すことができるのだ。
(チャイナネット)
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