韓国メディアによると、8月の訪韓中国人客は18年ぶりの減少となり、高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備が影響しているようだという。THAADは韓国で再び物議をかもしている。多くの韓国人は、自国が中米の駆け引きの「人質」になったと考えている。ロシアメディアは、「韓国のTHAADは、中ロにまとわりつく米国の大蛇だ」と表現した。韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン)韓国外交通商部前長官は「THAAD配備後、中国は韓国と友好関係を保ち難くなる」と指摘した。
ニューヨーク・タイムズは、THAAD配備が韓国国内で物議をかもしており、多くの韓国人は自国が中米の駆け引きの「人質」になったと考えていると報じた。野党の指導者は、THAADには軍事的用途がまったくなく、中国を朝鮮に歩み寄らせる「政治の失策」だとしている。香港・中評社は社説で、「韓国の大統領は強硬な威勢を示し、朝鮮への先制攻撃も辞さないと強調したが、戦争後の人道主義的問題が重要であることを十分に認識する必要がある。無数の朝鮮人が韓国に入れば、韓国は現在の国力で朝鮮の難民問題を徹底的に解決できるだろうか」と論じた。
24日付の韓国紙・朝鮮日報によると、8月の訪韓中国人客は前月比で5%減少し、18年ぶりの減少となった。韓国の観光業界では、韓国政府によるTHAAD配備の正式な発表が中国人客の減少という結果を招くという声があったが、この懸念は現実化しようとしている。海外旅行は通常、1カ月前に航空券を予約する。韓国政府がTHAAD配備を発表したのは7月8日だったことから、中国人客は8月より減少を始めた。韓国免税店の取締役は、2012年の李明博大統領による独島(日本名・竹島)訪問後に日本人客が激減したが、THAADも同じような状況を引き起こすと懸念した。韓国政府が7月8日にTHAAD配備を発表してから、中国人300人以上が同月27日、韓国・大邱で開かれる「チキン&ビール(チメク)フェスティバル」の参加を取り消した。9月には中国のツアー客3000人以上が、ロシアワールドカップ・アジア最終予選の韓国対中国の観戦を取り消した。
北京携程国際旅行社有限公司の責任者である劉亦藤氏は25日、環球時報の取材に応じた際に「THAAD問題により、訪韓中国人客が減少している。これは日々のデータから見て取れる」と述べた。しかし中国国際旅行社(万柳門市部)の職員は、訪韓客が減少しているとは感じていないという。遼寧社会科学院の研究員である呂超氏は、環球時報に対して「THAADは中韓の政治・外交関係を損ねる。この雰囲気のなか、中韓両国の経済交流も影響を受け、いわゆる『政冷経熱』という局面は生じない。観光業や民間交流などにも支障が出る」と述べた。
(チャイナネット)
関連記事: