現在、VRの設備ではヘッドマウントディスプレーが一般的で、これは没入型3D体験を楽しむことができるもので、主にゲームに利用される。VR設備の普及には難しさがあり、コンテンツも限られており、ユーザーはまだ「初歩的段階」の体験にとどまっている。技術的特徴の多くもまだ笑い話やコンセプトの段階にとどまっている。
技術が成熟していないことがVR技術の発展を制約するとすれば、応用方面の難しさが普及拡大を阻む主観的な障害となっている。3D技術を利用して撮影された映画「アバター」のジェームズ キャメロン監督は、「VR技術に対して『風邪を引いた』ことはない」という。過去2年間ほどのVR技術の急速発展を経ても、VRに対する考え方は変わらなかったという。
キャメロン監督は、「VR環境では1つのシーンを続けて撮影するしかないので、撮影したものをあとでカットしたりつなぎ合わせることができない。これでどうやって映画を撮るというのだろう」と疑問を投げかける。この声にはVR技術の応用をめぐって多くの産業が抱く懸念が端的に表されている。「熱に浮かされてウズウズしている」市場に、各産業の抱く疑問がいくらか冷や水を浴びせかけている。
「VRプラス」が一大トレンド
VR技術は技術や応用に確かにボトルネックを抱えるが、科学技術分野に一大現象をもたらした「風穴」でもあり、未来に相当の価値をもつようになることは間違いない。それでは発展の方向性はどこにあるのだろうか。