供給側の構造改革推進に伴い、中国の工業経済が底打ちし安定に向かう兆しが一段と鮮明になった。
中国国家統計局が9日に発表した2016年7月の生産者物価指数(PPI)は、前月比でプラスに転じた。6月はマイナス0.2%だったが、7月はプラス0.2%となり、今年3月から続いていたマイナス傾向にピリオドを打った。前年同月比ではマイナス1.7%と、減少幅は前月から0.9ポイント縮小した。
「PPIの持続的な改善は、供給側の構造改革推進に伴い、工業経済が底打ちし安定に向かう兆しがはっきりしたことを示す」と、万博新経済研究院の劉哲院長助理は「証券日報」の取材に対して応えた。
主要食品価格の下落を受け、豚肉や野菜などの食品価格は合理的な水準に戻りつつあり、7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は1%台を維持した。国家統計局の発表によると、7月のCPIは前月比で0.2%上昇。前年同月比では1.8%上昇し、上昇率は前月より0.1ポイント縮小した。
卓創資訊の胡慧春アナリストは、「全体としては、短期的に水害の影響で野菜などの農作物の生産 輸送が大きく影響を受け、食品価格は上昇が続く見通しだ。しかし、天候の改善に伴い物流と供給が正常化すれば、野菜価格も下落する可能性がある。総合的に分析すれば、8月のCPIは前年同月比で上昇するかもしれないが、上昇余地は限られるだろう」と分析する。
同アナリストは「中国のCPI上昇率はここ数カ月安定しているものの、工業製品価格の上昇ペースが速く、前期の住宅価格の上昇が影響する可能性もある。一部での水害が野菜価格の大幅上昇を招くなか、今後はインフレ圧力が高まる見通し。度重なる預金準備率の引き下げは市場金利の低下を招くだけでなく、市場での政策緩和期待を強め、人民元相場の下落圧力の上昇につながる。総合的に見ると、今後の金融政策は安定維持がメインになる見通しだ」としている。
九州証券の鄧海清グローバルチーフエコノミストは、「CPIとPPIが前月比で上昇するかが焦点となり、短期的な下落よりも注視する必要がある。中国人民銀行(中央銀行)による流動性供給はもはや合理的な選択でなくなる」との見方を示した。
(チャイナネット)
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