ドイツのメルケル首相は12~14日に中国を訪問し、第4回中独政府間協議に参加する。メルケル首相の訪中は就任後で9回目。今回は北京に加え、遼寧省瀋陽市を訪れる予定。在中国ドイツ大使館のクラウス大使は『環球時報』の取材に応じ、今回の訪中団に10名の大臣級幹部、BMW、フォルクスワーゲング、シーメンスの総裁を含む20名の経済界要人が参加することを明らかにした。
世界の2大主要経済国として、中国にとってドイツは欧州、ドイツにとって中国はアジアにおける最大の貿易相手国。経済面の協力はこれまでも中独関係の最重要部分の一つ。クラウス大使によると、今回の政府間協議でイノベーションが重要な議題となる見通し。イノベーション成果を守るとの観点から、中独両国はデータ保護分野の協力を強化する必要がある。今回の協議で調印する可能性があるとされている経済スパイ対策の協定について、クラウス大使は「交渉の進展は緩やかだが、政府間協議の開始までに草案はまとまりそうだ」と述べた。
G20(主要20カ国)も重要議題の一つ。今年は中国、来年はドイツがG20サミットの議長国を務める。このため、政府間協議で両国はここ2年で如何にG20の役割を一層高めることについて意見を交わす見通し。G20サミットの重要議題として世界経済が注目されている。世界経済の回復が力強さを欠くなか、単なる金融緩和ではなく、開放とイノベーションを通じて成長を促すべきという点で中国とドイツは主張が一致している。
経済と政治に加え、今回の中独政府間協議で科学研究分野の協力についても話し合う予定。クラウス大使によると、科学研究分野の協力はドイツが掲げる「インダストリー4.0」と中国が推進する「中国製造2025」との融合にも関係しているため、科学分野の議題であると同時に、経済分野の議題でもある。
中国から欧州へ向う列車は貨物を満載して出発したが、空車のまま帰国したことが先ごろ、中国社会で波紋を広げた。これについてクラウス大使は、EUの対中国貿易赤字が関係していると指摘。「欧州からの輸入の拡大には、中国が市場の開放を一層進める必要がある」との見方を示した。
一方、ドイツ世論で中国からの投資が国家安全や技術の安全を脅かすとの懸念が浮上していることについて、「ドイツ政府は中国資本に対し、現在も将来もオープンな姿勢を堅持する。ドイツでこうした商業的な行為を禁じる法律はない」と指摘した。
二国間の査証に関し、クラウス大使は向こう5~10年以内に相互の査証免除を目指したいとの考えを示した。「高い目標があるこそ、物事の進展が図れる」という。足元で経済、政治分野で中独の協力が進んでいるものの、査証に関しては依然としてハードルが高い。こうした現状を踏まえ、ドイツはすでに商用ビザ、観光ビザの発給に必要な期間をそれぞれ48時間、72時間に短縮したほか、外交パスポートに限っては査証免除を実現。今後は申請書類を一部免除するなど、要件の緩和を進める方針という。
(チャイナネット)
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