5月末に日本で開催されるG7サミットで、安倍首相は、自国の利益のみをねらった様々な主張をねじ込んでくると見られる。だが専門家によると、世界におけるG7の影響力は低下しており、その試みが実質的な効果を上げる可能性は低い。
G7の影響力は過去のものに
国際問題の専門家によると、G7サミットは近年、見た目こそ立派な様子を保っているが、その影響力の低下はとどめようもなくなっている。金融危機の打撃を受けた後、G7は世界経済のガバナンスの決定権を実質的に失い、世界経済の潮流を左右する力はなくなっている。
欧州は安倍首相の「説教」を拒否
日本は今年のG7サミットの主催国である。安倍首相はこれをチャンスとして、日本を含むG7の世界的な指導力を示そうとしている。安倍首相は欧州訪問で、国際安全保障や経済的な挑戦、南中国海問題などの組み合わせで、国際社会とりわけ欧州の支持を取り付けようとした。だがその意図が実現されたとは言えそうにない。
中国現代国際関係研究院の陳鳳英研究員は、G7の内部には現在、深刻な分裂があると指摘する。米国は大統領選に注意力を集中させている。欧州連合(EU)は、英国のEU離脱や難民危機、テロ対策、不景気などの問題に直面して困り果てている。日本は、欧州の支援を取り付け、世界の問題について欧州と連携しようとしたが、欧州がそれどころではない状況であることは明らかである。
世界の経済成長の刺激という議題でも、日本と欧州の一部の国に意見の相違があることが明らかとなった。欧州訪問中、安倍首相は、大規模な刺激によって消費を奨励し、積極的な財政政策を取ることをアピールした。安倍首相が就任以来取っている「アベノミクス」と一致する路線である。
日本のこうした主張に対し、ドイツは、経済改善の方面で自らの責任は尽くしたと繰り返した。ドイツのメルケル首相は、ドイツは昨年、100万人の難民と移民を受け入れ、内需を引っ張り、世界経済の発展に貢献したと語った。ドイツはさらに、投資手段と穏健で有力な予算政策、持続可能な発展政策を結合すべきだと主張した。
安倍首相は英国では、英国がEUにとどまることを勧め、日本の投資先としての英国の魅力はEUを離脱すれば低下するだろうと語った。英国の世論からはこれに対し、「アベノミクス」以来、日本経済の状況が英国よりも良いとはとても言えず、英国は日本の指図を受ける必要はないとの声が出た。
英紙「デイリー・テレグラフ」は、「『アベノミクス』が打ち出されて3年の日本経済が直面する厳しい状況を考えれば、英国のEU離脱の国民投票に対する安倍首相の干渉は、安倍首相が望むように受け入れられるものではない」としている。
南中国海の局面の撹乱はかる
報道によると、安倍首相は欧州訪問中、訪問国に対して南中国海問題についての主張を繰り返した。専門家によると、南中国海問題について日本は域外国家であるにもかかわらず、この問題への口出しを続けてきた。安倍首相は、欧州国家の同意を取り付け、国際法の名目で南中国海の撹乱をはかっている。だがこのような一方的な思いがかなうことはない。
アナリストによると、安倍首相は南中国海問題について、法理念を利用して欧州国家を味方につけ、G7サミットの場で自らの意図を遂げようとしている。だがこうしたやり方は、アジア太平洋地域の平和と発展を妨げるものと言わざるを得ない。
(チャイナネット)
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