4つ目は、コア競争力だ。長らく栄える企業は、いずれもコア競争力を絶えず向上させている。華為(ファーウェイ)を例に挙げると、2015年に1000億元(1元は約17円)、約154億ドルを研究開発に投じている。一方、アップルが同年81億5000万ドル、グーグルが99億ドルを研究開発に投じたのと比べると、その規模の大きさが分かる。かつて世界最大のソーラー発電企業であった無錫尚徳は、創業12年で破綻。その重要な原因は、同社が精力を製品開発に注がず、低価格の製品を大量製造して価格競争に走ったことにあり、その後業界全体の衰退に繋がった。
5つ目は、人材の安易な選抜だ。中国には「富は三代続かず」という古い言葉があるが、日本では子孫の不孝による企業の衰退を防ぐため、多くの家族企業が徳と才能のある養子を選んで継承しているのだ。海鑫鋼鉄の倒産は継承と人選の失敗にその要因がある。創始者李海倉氏は暗殺により逝去し、後に息子李兆会氏が学業を辞めて帰国、会社を継承していた。しかし、彼の関心事は資本市場だけに集まり、社内に顔を出す事はなく、資産百億元の海鑫鋼鉄は2003年から2014年のたった12年間で破産宣告に至った。当時もし総経理(社長)で、人望の厚い李海倉氏の5番目の弟 李天虎氏が継承していれば、企業の運命は書き換えられていただろうと巷で囁かれた。
6つ目は資本の慎重な運用だ。上場は企業の知名度を高め、企業規模を拡大させるため、多くの起業家が上場を一つの目標に掲げる。しかし、日本では長寿企業のほとんどが非上場企業なのだ。中国の新東方の創設者である俞敏洪氏は、「上場と同時に株主への責任が生じ、規模と利益ばかりを追求することになり、物事のゆとりを失ってしまった」と上場を悔いている。華為の任正非氏は、「資本市場には入らない。大量の資本が華為に流れ込めば、企業は多元化し、華為の20年余りの秩序ある管理が崩れてしまうだろう」と強調している。飲料水大手の娃哈哈も上場していない。宗慶後社長の理由は「上場して融資を受ける必要はない」だ。老干媽創始者の陶華碧氏も「上場すれば倒産のリスクを負う」「上場は人様のお金を騙すようなもの」と上場には反対している。
「小企業は社長に頼り、中企業は制度に頼り、大企業は文化に頼る」。企業の発展は制度のデザインと文化の創造と切っても切り離せない。しかし、企業が速い発展を目標とし、お金儲けを唯一の目標としたとき、深い企業文化の蓄積が望めないだろう。当然百年企業にもなりえないだろう。
(人民網日本語版)
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