世界銀行は先ごろ発表した「世界貿易:2015年の貿易動向」で、「2015年度前半に大幅に落ち込んだ世界貿易は、後半の持ち直しも小幅に留まり、世界全体の輸入の伸びは、2014年の3%に対し、2015年は1.7%にとどまった」と指摘した。世界貿易の今後については、中国経済のモデル転換が最終製品輸出国に新たなチャンスを創出する可能性があるとしている。
リポートは、商品相場の下落と中国の成長モデル転換の影響で新興国の需要が低迷したと指摘。コモディティー価格の下落で生産国の収入が減少、生産国でも中国などその他の地区からの輸入が減少した。同時に中国では投資主導型から消費主導型への成長モデル転換が進んでおり、コモディティ生産国などからの輸入が減少した。
中国経済のモデル転換は東アジア以外の地区の生産や貿易の構造にも影響し、その変化は製造業やサービス貿易の変化に表れている。製造業、なかでもアジアのメーカーは輸出量が激減したものの、現在は徐々に回復に向かっている。中国の成長減速は工業部門に集中しているため、貿易にもそれ相応の影響が及んだ。
リポートは最後に、長い目で見れば、中国経済の投資主導から消費主導へのモデル転換は新たなチャンスの創出につながる可能性があると指摘。世界貿易の今後の見通しについては、中国経済のモデル転換が利益をもたらすと期待できる。中国経済の投資主導型から消費主導型への成長モデル転換は、最終製品輸出国に新たなチャンスを創出する可能性があるほか、現在ネガティブな影響を受けている川上の中間製品と資本財部門の成長を促すとみている。
このほか、中国のサービス需要は増加し続けており、これが世界のサービス業の成長も促す。中国経済の投資主導型から消費主導型への成長モデル転換は、需要の面でも貨物輸入からサービス輸入への転換をもたらした。この需要の一部は、海外からの輸入と海外消費に対応しており、その成長は明らかだ。2015年上半期の中国のサービス輸入が占める比率は、2011年年初の15%前後から、22%近くに上昇した。
(チャイナネット)
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