勃興期ならではのブームを過ぎ、O2O業界は2極化しつつある。出資者たちの心理も冷え込み、過度な安売りモデルも徐々に沈静化している。ビジネスとして有効なO2Oビジネスモデルも少数になりつつある。顧客を留めることのできないプロジェクトは、補助金支給ブームが終わると資金に窮するようになった。現在、体制的な問題がO2O業界発展を妨げている。専門家は、政策の寛容度を高めたり、基本サービスを強化したりするなど、様々な施策を通じてO2O産業の健全な発展を促すべきだと指摘する。
補助金ばらまきモデルが弱みに
かつて、O2Oビジネスが投資家の注目を集めた。あるO2Oビジネスが盛り上がると資本が常に大量につぎ込まれた。しかし資本の流通が落ち込んだ2015年の上半期には頓挫するプロジェクトが増え、業界内ではO2Oの補助金ばらまきモデルに疑問符が付くことになった。
業界の発展と自然淘汰にしたがい、ある分野でのO2O大手は日に日に収益モデルが明確となり、市場の地位も安定した。ネット配車サービス分野では「滴滴出行」と「優歩」が大きな市場シェアを占めるようになった。一方、「訪問マッサージ」や「訪問調理」などの分野では、補助金ばらまきで無数の資金を使った後、規模拡大や利益拡大が困難となり、退場を強いられた。
リスク投資の専門家によると、本質的に言ってO2O分野のばらまき合戦は、無料で補助金を渡すためにあるのではなく、補助金で消費者を教育し、消費者の行動習慣の1つとしてもらうことにあると指摘する。お金をばらまく目的は消費者の行動習慣を変えるためにある。もし補助金がなくなっても依然としてO2Oのプラットフォームを使い続けるなら、そのビジネスモデルは成功したと証明できる。
O2O業界の制度的困難が阻害に
市場の規律ある発展という問題を除けば、O2O業界は制度的困難とイノベーションの阻害という問題も抱えている。
新しいビジネスモデルには従来型制度との衝突があるが、管理面の寛容度が不十分である。上海金融法律研究院の執行院長である傳蔚岡氏は、ネット配車サービスを例に挙げつつ、「ユーザーがネット上で行うリクエストと、プラットフォームを利用する運転者がそれを受け入れることを通じて、需要と供給をマッチングさせる。これは、政府がタクシー業務証を発給し、乗客が道で乗車するという従来型のビジネスモデルと本質的な区別がある。現行の規定に基づけば、ネット配車サービスは非合法状態にある」と指摘する。
同時に、政府の情報公開が不足していることも、O2O産業の発展を阻害している。百度発展研究センターの主任である黄林莉氏は取材に対し、「O2Oプラットフォームにはしばしば、大量の従来型商店が入ってくる。プラットフォームは、商店が提供した工商登録証や衛生許可証などの書類の真偽を確かめる手段を持たない。このことがプラットフォームにニセモノの商店を存在させ、業界の正常な発展を阻害している」と指摘する。
業界筋は、O2O産業は市場が自然に形成されたものであり、O2O産業と政府スローガンの「万人の創業、万人のイノベーション」が有機的に結合すれば、O2O産業は健全に発展できるとの見方を示す。
「政策の寛容性を高め、市場の試行錯誤を許すべきだ」とiiMedia ResearchのCEOである張毅氏は述べる。中国のインターネット産業はこの20年で大きな発展を遂げ、アメリカと肩を並べるネット大国に成長した。理由の1つとして、中国の人口が多いことが挙げられるが、もう1つには比較的寛容な政策とも関係がある。O2O業界の創業やイノベーションにとって、政府による「禁止」や「停止」の規定は、初期段階から業界発展のはしごを外すようなものだ。
傳蔚岡氏は、O2Oという新ビジネス形態に対し、政府は十分な成長余地を与えるべきであり、業界の発展に対し、十分寛容であるべきだとした上で、詐欺など消費者の合法的権益を侵害する行為はきちんと調査しなければならないと述べる。
「基礎的なサービスを強化し、政府のデータを徐々に開放していくべきだ」と業界筋は述べる。大量の企業情報は政府部門が把握している。もし創業企業の審査を通過させるためだけにこれらのデータが必要ならば、彼らたちにとっても資源の浪費だろう。黄林莉氏は、百度のネット配食サービスのようなO2Oプラットフォームがレストランの質を審査すれば、大量の人力と資力が必要となるとした上で、「政府の部門がさらに情報公開を強化すれば、社会コストを節約でき、業界発展を大きく促進させられるだろう」と述べる。
(チャイナネット)
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