競い合うが、戦わず 商品の絶対的価値を追求
金井会長の考え方では「無印良品の目標は競い合うが、戦わない企業になること」だ。講演中、彼はスポーツの種目を例にとってこの考え方を説明した。「サッカーやバスケットボールなどは『戦う』に属するスポーツだ。対戦相手のミスやオウンゴールに我々はほくそ笑む。一方、陸上競技やマラソンなどは競い合うのスポーツに属する。対戦相手が転んでも我々は嬉しいとは思わない」と話す。
金井会長はまた「無印良品の目標は後者のような会社を作り上げることである。相手のミスをあざ笑うのではなく、自分の考え方に基づいて勝負をするのみ。どのような状況であれ、無印良品が目指すのは相対的価値ではなく、絶対的価値である。当社は便利な商品、環境、情報を提供し続けることを顧客へのサービスの基軸とする」と続けた。
老子の思想を企業理念に盛り込み、各地の特色を全世界に売り出す
講座の中で金井会長は無印良品というブランドの設立当初、老子の「無の以て用を為せばなり」という思想もインスピレーションの源の1つだったという。金井会長からすると、「グローバス化の過程において物質と生活は共通化と差別化の両極端へと発展している最中だ。中国の思想を経営理念に取り込んだのと同じく、無印良品が作るものは国際的な視点を通して各地の特色を研究し、無印良品の角度から普遍性を与えたのち再び全世界に売り出していく」という。