共同通信社の報道によると、日本銀行は19日の金融政策決定会合で、国内景気の判断について「緩やかな回復を続けている」との見通しを維持し、政策決定者が現在の日本経済に対して、慎重ながらも楽観的な展望を持っていることが示された。これまでに発表されたデータによると、日本のGDPは2四半期連続でマイナス成長となり、日本は過去7年間で5度目のリセッション(景気後退)に陥った。人民日報海外版が伝えた。
▽2四半期連続のマイナス成長
日本内閣府が発表した統計データによると、第3四半期の日本のGDPは前期比年率で0.8%減と、第2四半期に続き2期連続のマイナス成長となり、アベノミクスの力不足が示された形となった。
英ガーディアン紙は論説の中で、「日本経済が5度目のリセッションに陥ったことは、アベノミクスにとって新たな打撃となった。アベノミクスの新3本目の矢が放たれた当初は、日本経済への期待が集まったが、現状を見るに、この計画が大きな実質的効果をあげられなかったことは明白だ」と指摘している。
データによると、日本企業が未来の経済情勢を好感していないことが、日本経済低迷の主な原因となった。企業の収益率が過去最高に達しても、設備投資は前年同期比1.3%減となっている。企業による設備投資計画の延期は、日本国民が未来の経済の動向に自信が持てないことを示している。
しかし、日本政府は依然として慎重ながらも楽観的な展望を維持し、「経済にはやや疲弊が見られるが、雇用と個人所得の状況は好転しており、経済は緩やかな回復を続けている」との見方を示した。日銀も当面の金融政策について現状を維持することを決定した。報道によると、甘利明経済再生担当相はGDPデータ発表後の記者会見で「在庫の下押しを除けば民間需要はプラス成長であり、景気は踊り場といった認識だ」と語った。
▽新政策では問題解決は難しい
日本経済がリセッションに陥るのは過去20年間で7度目。これは日本が事実上、経済の疲弊からずっと抜け出せていないことを意味する。
アベノミクスの「新3本の矢」が放たれると、短期的には確かに効果が見られたが、「旧3本の矢」であれ、「新3本の矢」であれ、日本経済が直面する根本的問題を解決するのは難しい。
対外経済貿易大学金融学院の郭紅玉教授は取材に対し「経済構造改革の力不足、生産年齢人口の不足、局地経済の供給力の弱点が、日本経済成長に影響する主な要素となっている。高齢化により労働力市場の縮小が進み、需要と供給がどちらも不足している。東日本大震災、福島の原発事故などは日本の局地経済の供給力の弱点となっている。どの問題も短期的に解決できるものではない」と語った。
実のところ、世界経済が軒並み低迷する状況の中、日本経済のリセッションは何も特別な例ではない。中国国際問題研究院の魏民副研究員は「日本の問題は、世界各国が普遍的に直面している問題と同じだ。景気回復が緩慢で、通貨政策が頻繁に使用され、ゼロ金利政策が役に立たない状況の下、量的緩和政策で経済を刺激している。こうした措置は日本であれ、欧州であれ、実体経済への効果は非常に限られている」と語る。
▽「破綻」と言うには時期尚早
郭教授は「アベノミクスの最大の目的は、長期にわたるデフレ期待を変化させること。まず、インフレ政策の実施により物価を上昇させ、投資の収益性を確保する。その一方で、円安と利下げにより、資金を持って静観している人々を変え、現在の行き詰まりを打破する。この2点が実現できれば、国民の投資の積極性を引き出し、日本経済への自信を回復し、日本経済は成長を回復できる。現時点では『破綻』と言うにはまだ時期尚早だ」と指摘する。
日本は今世紀初めにも量的緩和政策を実施したが、効果が表れる前に撤回し、日本経済はすぐに二の舞となった。ゆえに、改革措置を堅持し、日本企業に投資のチャンスを与え、構造調整・社会革新のための余地を与え、国民の日本経済への自信を取り戻すことが、アベノミクスが直面する最大の課題と言えるだろう。
経済構造改革は世界経済が抱える共通の問題だ。前出の魏氏は「構造改革への一歩を踏み出さない限り、通貨政策など他の政策では経済発展を推進することはできない。これは世界経済理論、経済実践が直面する共通の問題だ」と語る。
(人民網日本語版)
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