11月の第4木曜日は西欧社会の伝統的祝祭日の感謝祭だ。翌日の金曜日は米国商業界の一大ショッピングイベントが始まる「ブラックフライデー」で、この日から始まるセール期間には米国のオフライン小売産業の年間売上額の3分の1が集中する。海の彼方のこのイベントデーが、今では中国の海外通販業界が「突破口」を見いだすための絶好の機会となっている。一財網が伝えた。
海外通販プラットフォーム・洋碼頭の曾碧波最高経営責任者(CEO)は18日午後、ブラックフライデーの国境を越えた一大セールの開始を宣言し、今月20日午前0時から、連合プラットフォームの2万人のバイヤーと数千の店舗で、米国、日本、オーストラリア、欧州などの35カ国・地域の選び抜かれた逸品40万点を販売するとした。セールは27日のブラックフライデー当日(米国時間の26日)にピークを迎える見込みという。
今年、中国の消費者の間で知名度が高まるブラックフライデーに熱を上げるのは洋碼頭だけではない。美麗説HIGOやアマゾンなどのプラットフォームも、分け前にあずかろうとブラックフライデーに狙いを定める。北京地下鉄の乗り換え通路には、同じくアンジェラ・ベイビーが登場する同じような赤を基調にした洋碼頭と美麗説HIGOの広告が張り出される予定だ。ブラックフライデーはまだこれからだが、通販業界の戦いはすでに始まっている。
対外貿易を専門に扱う洋碼頭は、2013年からブラックフライデーの取組をスタートしたが、この年の業績はぱっとせず、利用者の間ではブラックフライデーがまだ十分に知られていなかった。曾CEOは14年に初めて、以前の大量の海外通販利用者がブラックフライデー期間に洋碼頭に押し寄せた感じがしたという。天猫国際(Tmallグローバル)などの海外通販サイトも14年から取組を始め、海外製品を求める中国の消費者の意欲がかつてないほど高まった。
粉ミルク、紙オムツ、化粧品、ヘルスケア・健康用品といった標準化された商品は、中国の消費者が今一番買いたいと思う海外製品だ。「第一財経日報」が18日に天猫国際から入手した中国のショッピングイベント「ダブル11」(11月11日)のデータをみると、天猫国際ではダブル11当日に国内の他の海外輸入通販サイトの1年分に匹敵する取引があり、当日午前11時にはベビー用品、ミルク、化粧品全体で輸入取引高の過去最高を更新した。オランダのフリソの粉ミルクは80万缶、米国のハギーズの紙オムツは80万パック、日本の花王の紙オムツは66万パックをそれぞれ売り上げた。
だが洋碼頭は天猫国際や網易考拉海購といったプラットフォームとは異なり、粉ミルクや紙オムツが人気品目ではなく、売上ランキングのトップは海外の衣類・靴類・帽子類で、以下、化粧品・薬用化粧品類、ヘルスケア・健康用品、ベビー用品が並ぶ。ファッション製品の個性化ニーズに対応するため、洋碼頭はC2C(一般消費者間取引)に似たバイヤー制度を取り入れ、2万人を超す海外バイヤーを擁し、ファッション製品では海外倉庫とチャーター便による直送方式を多く採用する。一方、粉ミルクなどの標準化された商品ではB2C(企業・一般消費者間取引)を採用し、保税倉庫に大量のストックを蓄える。
こうしたモデルは中国の多くの海外通販企業が採用するモデルと大きく異なる。天猫国際は典型的なプラットフォーム企業で、国際大手ブランドの出展を絶えず呼び込もうとする。網易考拉海購や小紅書などは自社によるプラットフォーム運営と調達を原則とし、プラットフォームが調達の場所になっている。一方、洋碼頭の現在の戦略の方向性は、C2Cのバイヤー資源を絶えず強化することであり(現在の取引額におけるB2CとC2Cの割合は4対6)、標準化された商品だけでなく、消費者の多様なニーズにより柔軟に応えようとしている。
洋碼頭は今年初めからブラックフライデーに向けて準備を進め、主に市場での営業販売チャンネルの普及拡大や利用者への割引券配付などに資金をつぎ込み、イベント期間には3億元前後の取引額を見込む。今後は海外バイヤーの規模を30万人に拡大し、1千億元規模の海外通販ニーズに対応したい考えだ。実現すれば、国内消費者の関心は粉ミルクなどの標準化された商品のみにとどまらなくなり、海外のライフスタイルを楽しんだり理解したりする中で、まだ中国に上陸していないたくさんの商品を発見することにもなる。
(人民網日本語版)
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