日本政府は今月中旬、ハバナ市内でキューバ政府との「官民合同会議」を開催、日本企業の投資に利便化を計るためのビジネス環境の改善をキューバ政府に求めた。実のところ、キューバのみならず、イランも日本のビジネス界との協力に注目し始めている。日本貿易振興機構(JETRO)はテヘラン国際産業見本市の機会に便乗し、イラン政府と水面下で接触、安倍晋三首相も自ら中央アジア諸国を訪問した。人民日報が報じた。
一連の日本の外交的動きの背後には、経済面での重圧がある。第2四半期の実質GDPは、年率1.6%のマイナス成長となった。各機関による第3・第4四半期の予測も軒並み、楽観視できないものだ。経済は安倍政権にとって重要な礎であり、国民が安倍政権を選んだ理由も、「経済最優先」という施政方針にある。経済の落ち込みが進むなか、安倍総理は9月末、「一億総活躍社会」の実現に向けた「新3本の矢」を打ち出した。
「新3本の矢」の将来性を探るには、まず、もともとの「3本の矢」から見ていく必要がある。客観的に見て、日本経済は基本的な改善が得られ、円安と株価上昇に転じ、輸出関連企業が改革での最大の受益者となった。だが、改革を通じて目標としていた名目3%、実質2%のGDP成長は実現せず、昨年には0.9%のマイナス成長を呈し、さらにはアベノミクス「3本の矢」による副作用もだんだんと鮮明になった。インフレ目標2%は実現せず、大量の国債買い取りによって日本銀行の政策は大きく制限され、国債は本来の金融上の機能を失った。さらには、政策効果として生じた大幅な円安は、貿易赤字の長期化と実質的な賃金引下げを招き、財政赤字を拡大させた。
アベノミクス「新3本の矢」の目標に焦点を当てると、「子育て支援」と「社会保障」の政策強化は、確かに正しい。少子高齢化が日本経済の病巣となっていることは疑う余地がない。だが、残念なことに、安倍首相の今回の改革は、かじれる「中身」がなく、ほぼ全てがかじれない「骨」ばかりだ。たとえば、日本の合計特殊出生率は1.4で、ここ20年間ほぼ横ばいで推移しており、すぐに変化を起こすことは難しい。また、安倍首相は、名目GDP総額を600兆円に引き上げるという目標を掲げたが、これを2020年までに達成するためには、年平均3%以上の成長率を実現しなければならない。一方、過去20年間のGDP年平均成長率は0.3%にとどまっている。
財政難は、改革の足かせとなる原因のひとつとなっている。2015年年初時点の国債残高は、GDP総額の約2.5倍に相当する1053兆円に達し、「借金して食いつなぐ」ことが、日本の財政のニューノーマルとなった。国際的な信用を維持するため、日本は予算規模の制御に務める一方、ひっそりと予算を補充した。ムーディーズなど世界三大格付け機関はこのほど、申し合わせたかのように、日本国債の格付けを引き下げた。
安倍内閣は現在、企業に期待を抱いている。引き続き賃金の上昇を企業に求めたことに続き、毎月1回「官民対話」会議を開くと発表、国内投資を増やすよう企業に圧力をかけた。だが、日本企業は、国内の投資環境を有望視しておらず、相変わらず海外に目を向け続けている。統計データによると、2014年の日本企業による海外M&A総額は14兆円という過去最高を記録した。これは、国内設備投資総額の3倍に相当する。
改革に対して猜疑の眼を向けているのは、日本企業だけではない。国民の信頼感も次第に失われつつある。調査によると、「改革について信頼している」人は5分の1にも満たず、約6割の人は、改革に対して期待を抱いていない。これまでの慣例により、毎年10月から11月には臨時国会が開催される。この臨時国会は、本来は、法案を審議するための絶好の機会であるはずだが、安倍首相は今年、外遊が続くという理由で、珍しく開催を見送った。「新三本の矢」がどこまで飛ぶのか?-多くの人は、「楽観できない」と考えている。
(人民網日本語版)
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