造血幹細胞を提供した王玉超さん(左)と孫金偉さん(右)
河南省の2人の男性が提供した造血幹細胞懸濁液が9日、米国とオランダに輸送された。その前日の8日午後5時30分、河南省腫瘍病院にある造血幹細胞採取室で、4時間30分にわたる手術の末、王玉超さん(27)と孫金偉さん(37)という2人のドナーから、それぞれ約210ミリリットルの造血幹細胞懸濁液が採取された。採取後の2人の健康状態は良好だという。これらの「命の火種」は、海外にいる2人の患者の命を救うために用いられる。人民日報が伝えた。
河南省で採取された造血幹細胞が国外に輸送されるのは今回が初めてであり、2人のドナーが同じ日、同じ場所で国外の患者のために造血幹細胞を提供するのは中国で初めてとなる。
河南省赤十字会常務副会長の趙国新氏は、「これまでの慣例では、国際ドナーは北京の指定病院で造血幹細胞の採取を行っていたが、王さんと孫さんの造血幹細胞採取は河南省の鄭州で行われた。そのわけは、まず、河南省腫瘍病院の採取技術とスタッフの質が国際基準に合致していたため。そして、鄭州は交通の便がよく、高速鉄道あるいは飛行機で輸送のニーズを満たすことができるため。さらに、全国の造血幹細胞ドナーのうち、河南省の人が10分の1を占め、最も多かったためだ」と語る。
河南省登封市で自営業を営む孫金偉さんは、体つきがよく、引き締まった筋肉をもつ。孫さんは2006年以降、半年に1度の献血を欠かさず行ってきた。2012年4月に献血をした際、血液サンプルを中華骨髄バンクに登録するかどうかを聞かれ、快く同意した。
今年4月、孫さんは鄭州市紅十字会の職員から電話を受け、自身の血液サンプルがオランダの患者と適合したことを伝えられ、造血幹細胞を無償で提供する意思があるかどうか尋ねられた。孫さんはこの電話にとても感激し、何度も「提供します」と答えたという。
王玉超さんは河南省禹州市中心病院の病理学医師で、2013年の献血の際に中華骨髄バンクに登録した。それから2年後、自身の血液が米国の患者と適合するとは思ってもみなかったという。「私は医師として、誰よりも患者の命を救うべきだと思った。造血幹細胞の提供に、私たちは欠かせない存在だ」。
河南省赤十字会の文梅英さんは、この仕事を始めて14年になる。「初めのころは、適合したドナー候補者に連絡するため、家まで訪ねていったが、こちらが口を開く前に拒絶されることも多かった。今は仕事がますますやりやすくなった。特に中華骨髄バンクのドナー登録が拡大し、メディアによる知識の普及が進むに伴い、通知の仕事がまるで楽しい旅行のように感じられるようになった」と文さん。
2012年に世界骨髄バンクに加入した中華骨髄バンクは今や、世界で4番目に大きい骨髄バンクとなり、200万人あまりのドナー登録者を有するようになった。2003年に設立された河南省赤十字造血幹細胞ドナーデータベースには、すでに約10万人分のドナー情報が登録されている。
文さんは「先進国と比べると、我々にはまだ向上の余地がある。例えばドイツでは、年に4千人あまりが造血幹細胞を提供しているが、中国は現在までの合計が4970人に留まっている」と語る。
9日、米国骨髄バンクのコーディネーターが上海から、オランダ骨髄バンクのコーディネーターが北京から、それぞれ自国へと飛び立った。
中華骨髄バンクのコーディネーター・宋曄氏は「国際規定によると、国境を越えて提供される造血幹細胞は72時間以内に患者に移植されなければならない。移植までの時間は短ければ短いほど良い」と語った。米国骨髄バンクのコーディネーターは、「河南省のドナーを称賛したい」と語った。
(人民網日本語版)
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