27日、中国四川省成都市の成都金沙遺址博物館に展示されている象牙。(成都=新華社記者/王曦)
【新華社成都5月31日】中国四川省広漢市にある三星堆(さんせいたい)遺跡の7号「祭祀坑」は28日、数カ月の作業を経て器物層まで発掘され、長さ1メート、幅0・6メートル、深さ10センチの長方形の「解剖坑」内で、判別可能な象牙10本が露出した状態で見つかった。
四川省文物考古研究院三星堆考古研究所の冉宏林(ぜん・こうりん)所長によると、現在、すでに発見されている三星堆の「祭祀坑」のうち、2号、3号、4号、7号の「祭祀坑」内に露出していた、第一層から見つかった遺物は、全て象牙だったという。
冉氏は「古蜀の人々は祭祀品を埋める際、一定の順序に従って行っており、一般に最上層が象牙になるように埋めていたと推測される」と述べている。
三星堆遺跡や金沙遺跡のような古蜀文明の大規模遺跡では、象牙は非常に重要な遺物とされ、三星堆ではこれまでに約200本の象牙が、金沙では100本以上の象牙が見つかっている。 しかし、現在の成都平原には象は生息していない。これほど大量の、はるか昔の象牙は、はたして時世の激変や気候変動によって残された本土のものなのか、それとも他国との貿易によって輸入されたものなのか。
中国科学技術大学の専門家と四川省文物考古研究院は、微量元素や同位元素のトレースなどの技術を駆使して、この疑問の答えを探っている。
また、中国科学院古脊椎動物古人類学研究所の専門家も、DNA解析から三星堆の象牙の起源について研究している。これは古蜀の気候、地理、環境の復元や古蜀文明の貿易、交通、他国との交流、文化的要素の理解にも役立つものと見られる。
現在、作業はすでにDNAシークエンシングの最終段階に入っており、三星堆遺跡から出土した象牙の「秘密」の解明が待たれている。