【新華社南京2月15日】中国科学院南京地質古生物研究所は14日、中国と米国、フランスの古生物学者がこのほど、6億年前の深海で大規模な酸化が起こり、深層海水の酸素量が上昇していたことを発見したと明らかにした。この変化は複雑な多細胞生物の出現の基礎となり、地球の生命体の進化における重要な転換点となった。
酸素はすべての高等生物の生存と繁殖の基礎となる。一般的には4億5千万年前に植物が上陸を果たした後に現代の海の原型が形成されたと考えられているが、深海ではそれ以前も常に酸化と低酸素状態が繰り返されていた。
研究チームは今回、岩石学や鉱物学、地球化学などの手法を組み合わせ、6億年前の深海のボーリングコア標本を用いて海水に含まれる酸素量の目安となる硫黄同位体比を推計した。数学モデルにより当時の深層海水の酸化能力を総合的に計算した結果、6億年前の深層海水では既に大規模な酸化が起きており、酸素量が著しく上昇していたことが分かった。
今回の研究を主導した中国科学院南京地質古生物研究所の王偉(おう・い)副研究員は「6億年前には、藍田生物群(Lantian Biota)や甕安(おうあん)生物群(Weng'an Biota)など複雑な構造を持つ多細胞生物が大量に出現していた。これら古生物化石の発見は、太古の時代に海洋に含まれる酸素量が大幅に上昇していたことを裏付けている」と語った。
関連する研究成果はこのほど、国際地質学雑誌「Geology」に発表された。
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