【新華社西安4月25日】中国陝西省西安市の漢長安城遺跡で新たな発見があった。北宮1号遺跡で前漢時代の建築遺跡が見つかり、考古学者らは廃位された皇后を住まわせた宮殿跡と推測している。
北宮遺跡は1990年代に発見された。宮殿を囲む壁は南北1710メートル、東西620メートルで、面積は106万平方メートル。中国社会科学院考古研究所の漢長安城調査チームは2018年末、同遺跡の研究を進めるため、国家文物局の承認を得て発掘を開始した。1905平方メートルの発掘で、一組の建築遺構が見つかり、大量の遺物も出土した。
研究者は主体建築物と付属建築物の調査で、土を突き固めた建築土台や壁などの版築(はんちく)遺構に前漢初期の建築材が全体的に混ざっているのを確認。これらの建造物が前漢中期に建てられたものだと推測した。また、宮殿の中庭遺構や遺跡の地表から漢の皇位を奪って新王朝を建てた王莽(おう・もう)が鋳造させた貨幣が見つかったことから、この場所が王莽時代まで使われていたことも分かった。
同研究所の徐竜国(じょ・りゅうこく)研究員は遺跡について、版築の質が低く、前漢中後期の他の宮殿建築で一般に用いられていた文字瓦当(がとう)もほとんど見つからなかったと指摘。これらは同遺跡の宮殿建築のランクの低さを示しており、廃皇后を住まわせる宮殿であったことと関係している可能性があるとの見方を示した。
前漢初期には恵帝の皇后張嫣(ちょう・えん)、中後期には成帝の皇后趙飛燕(ちょう・ひえん)らが、いずれも皇后の位を廃され、この宮殿で一人余生を送った。(記者/楊一苗)
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