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三井物産・安永竜夫氏インタビュー「日中の第三国市場協力はウィン・ウィン・ウィンに」
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2019-07-26 11:53:36 | 新華社 | 編集: 张一

  インタビューに応じる三井物産の安永竜夫社長。(7月3日撮影、東京=新華社記者/馬曹冉)

  【新華社東京7月26日】三井物産の安永竜夫社長がこのほど、東京で新華社の独占インタビューに応じ、日本と中国の第三国市場での協力について「日本、中国、第三国にとってウィン・ウィン・ウィンと言える」と評価した。さらに中国経済や両国協力の未来、中国進出を目指す日本企業へのアドバイスなど、自身の経験を踏まえた見解を示した。

  安永氏は第三国市場での協力について、特にインフラ分野などでは、競争力がある中国の製品と、三井物産などの日本企業がこれまで第三国市場で蓄積してきた事業運営のノウハウや世界的なネットワークを組み合わせると、非常に強力なパートナーシップが作られると指摘。両国の企業が協力することで、互いの長所を生かすことができ、ホスト国も最善のパッケージが得られ、皆が利益を手にすることができると述べ、「日中関係が強化されつつある今の流れの中で、共同で行われる案件がさらに出てくる」と期待を示した。

  中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は6月27日、大阪で日本の安倍晋三首相と会見した。両首脳は、第三国市場での協力が着実な成果を収めるよう引き続き促し、両国企業の相互投資の拡大を支持し、相手方の企業に公平で、差別のない予測可能なビジネス環境を提供することを確認した。

  安永氏はこれについて「われわれにとってはさらに追い風となり、両国政府からのサポートが得られる。第三国市場のみならず、中国での協力もさらに加速する」と分析。現在、相当数の日本企業が中国に進出しているが、日中緊密化の流れでさらなる事業拡大が期待できると述べた。

  その理由について安永氏は、中国の個人消費の強さは底堅いものがあり、中国政府もしっかりした景気刺激策を打ち出しているので、新常態(ニューノーマル)下で安定成長が続くと分析。「中国の成熟化に伴い成長は必然的に鈍化していくが、これだけ大きな国なので、イノベーションの進展や内陸部の発展により、新常態下で6%前後の成長率が期待できる」と楽観的な見方を示した。

  安永氏は「中国を製造拠点として、工場を中国に移設してきたのは、過去の日本企業の典型的な投資パターンだったが、現在中国に進出しようとする日本企業には、その考え方が必ずしも当てはまらない」と述べ、「中国を今までのような『ファクトリーチャイナ』としてではなく、『マーケットチャイナ』として見なければならない」と指摘した。その理由として、中国が既に世界第二の経済規模を持っており、沿岸部の平均所得が日本より高くなることが見込まれるので、安い労働力をベースにした事業は成り立たないことを挙げた。

  中国市場の需要について安永氏は「中国はますます豊かになってきている。それに伴い、個人消費が伸び、より良いものに対する需要が喚起されている。日本企業は現状を冷静に把握して自社のサービスや商品を提供し、中国市場で定着させる必要がある」と分析。三井物産が今後、食品の品質やサービスの高度化、最重点分野として「環境」や「健康」に関わる事業基盤を強化していく方針であることを明らかにし、「工業化を最優先するのではなく、環境との調和を保ちながらどうやって産業の高度化を進めていくかが肝要だ」と述べ、具体的な例として高度医療の提供、LNG供給、再生可能エネルギー事業を挙げた。

  安永氏はさらに、世界の自由貿易を支える二つの国として、日本と中国はウィン・ウィン・ウィンの案件構築を世界に具体的に示していくことが非常に大切だと強調した。

  安永氏は1983年に大学を卒業し三井物産に入社。入社3年目に中国台湾で語学研修留学をしたことがあり、2015年に同社歴代最年少の54歳で社長に就任、「人事を尽くして天命を待つ」という中国の古典を座右の銘としている。(記者/彭純、徐学林)

 

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三井物産・安永竜夫氏インタビュー「日中の第三国市場協力はウィン・ウィン・ウィンに」

新華網日本語 2019-07-26 11:53:36

  インタビューに応じる三井物産の安永竜夫社長。(7月3日撮影、東京=新華社記者/馬曹冉)

  【新華社東京7月26日】三井物産の安永竜夫社長がこのほど、東京で新華社の独占インタビューに応じ、日本と中国の第三国市場での協力について「日本、中国、第三国にとってウィン・ウィン・ウィンと言える」と評価した。さらに中国経済や両国協力の未来、中国進出を目指す日本企業へのアドバイスなど、自身の経験を踏まえた見解を示した。

  安永氏は第三国市場での協力について、特にインフラ分野などでは、競争力がある中国の製品と、三井物産などの日本企業がこれまで第三国市場で蓄積してきた事業運営のノウハウや世界的なネットワークを組み合わせると、非常に強力なパートナーシップが作られると指摘。両国の企業が協力することで、互いの長所を生かすことができ、ホスト国も最善のパッケージが得られ、皆が利益を手にすることができると述べ、「日中関係が強化されつつある今の流れの中で、共同で行われる案件がさらに出てくる」と期待を示した。

  中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は6月27日、大阪で日本の安倍晋三首相と会見した。両首脳は、第三国市場での協力が着実な成果を収めるよう引き続き促し、両国企業の相互投資の拡大を支持し、相手方の企業に公平で、差別のない予測可能なビジネス環境を提供することを確認した。

  安永氏はこれについて「われわれにとってはさらに追い風となり、両国政府からのサポートが得られる。第三国市場のみならず、中国での協力もさらに加速する」と分析。現在、相当数の日本企業が中国に進出しているが、日中緊密化の流れでさらなる事業拡大が期待できると述べた。

  その理由について安永氏は、中国の個人消費の強さは底堅いものがあり、中国政府もしっかりした景気刺激策を打ち出しているので、新常態(ニューノーマル)下で安定成長が続くと分析。「中国の成熟化に伴い成長は必然的に鈍化していくが、これだけ大きな国なので、イノベーションの進展や内陸部の発展により、新常態下で6%前後の成長率が期待できる」と楽観的な見方を示した。

  安永氏は「中国を製造拠点として、工場を中国に移設してきたのは、過去の日本企業の典型的な投資パターンだったが、現在中国に進出しようとする日本企業には、その考え方が必ずしも当てはまらない」と述べ、「中国を今までのような『ファクトリーチャイナ』としてではなく、『マーケットチャイナ』として見なければならない」と指摘した。その理由として、中国が既に世界第二の経済規模を持っており、沿岸部の平均所得が日本より高くなることが見込まれるので、安い労働力をベースにした事業は成り立たないことを挙げた。

  中国市場の需要について安永氏は「中国はますます豊かになってきている。それに伴い、個人消費が伸び、より良いものに対する需要が喚起されている。日本企業は現状を冷静に把握して自社のサービスや商品を提供し、中国市場で定着させる必要がある」と分析。三井物産が今後、食品の品質やサービスの高度化、最重点分野として「環境」や「健康」に関わる事業基盤を強化していく方針であることを明らかにし、「工業化を最優先するのではなく、環境との調和を保ちながらどうやって産業の高度化を進めていくかが肝要だ」と述べ、具体的な例として高度医療の提供、LNG供給、再生可能エネルギー事業を挙げた。

  安永氏はさらに、世界の自由貿易を支える二つの国として、日本と中国はウィン・ウィン・ウィンの案件構築を世界に具体的に示していくことが非常に大切だと強調した。

  安永氏は1983年に大学を卒業し三井物産に入社。入社3年目に中国台湾で語学研修留学をしたことがあり、2015年に同社歴代最年少の54歳で社長に就任、「人事を尽くして天命を待つ」という中国の古典を座右の銘としている。(記者/彭純、徐学林)

 

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