▽重大な品質問題
製品価格と市場でのブランド・ポジショニング調整は、無印良品の業績低迷の要因の一つにすぎず、実際には商品品質というもう一つの重要な要因が存在する。
北京市工商局海淀分局商品科は2018年9月、無印良品の巴溝華聯店で商品の抜き取り検査を実施した。工商局はその後、ホームページ上で調査結果を公表し、同店の衣料品10ロットが不合格だったことを明らかにした。
品質に疑念が示されたのと同時に、食品にも発がん性リスクがあることが明らかにされた。香港消費者委員会は1月15日、昨年8月~10月に香港各地で販売された58種類のビスケット類から遺伝毒性と発がん性のあるグリシドールとアクリルアミドが検出されたと発表した。今回の「毒入りビスケット」騒動は長引くことはなかったが、頻発する品質騒動が無印良品の輝かしいブランドイメージを曇らせたことは間違いない。
▽中国市場から始まる競争
優意国際品牌管理公司の楊大筠(よう・だいいん)最高経営責任者(CEO)は、無印良品の中国市場重視に変わりはないが、ポータルサイト大手の網易(ネットイース)やスマートフォン大手の小米(シャオミ)などの中国企業が、無印良品のコストパフォーマンスや品質を学習したことで、中国市場のコストと価格に発言権を持つようになったと分析。また、これらの企業のEコマースの拡大が無印良品より急速であったことも同社に大きな衝撃を与えたとの見方を示した。
熾烈な競争に直面した無印良品は、関連事業の拡大という新たなカードを切った。同社は2017年6月、同社初となるレストラン「MUJI Diner」を上海淮海路の旗艦店内にオープン。2018年には、深圳と北京に「MUJI Hotel」をオープンさせた。深圳のホテルは同社にとってグローバル初のホテルとなった。世界旗艦店も増え続けている。同社は2014年と2015年、成都と上海にそれぞれ中国市場で1番目と2番目となる世界旗艦店をオープンした。最近では2018年12月と2019年1月に、南京と杭州に旗艦店をオープンしている。これらの店舗は通常店舗より広く、「MUJI Books」やカフェなども入居し、現地色を取り入れた店舗となっている。
これらの状況は、同社が中国の消費者を必死に追いかけていることを示しているが、新形態のビジネスの成否を検証するにはもう少し時間がかかるだろう。製品の品質とブランドイメージ、値下げとハイエンド・ミドルエンドのポジショニングなど解消すべき矛盾は多く、バランスを取りながらの解決が求められている。(記者/陸涵之)