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中国の麦畑に立ち未来を見守る日本人
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-12-26 08:37:21 | 新華社 | 編集: 郭丹


小劉固農場のビニールハウスでトマトの枝を麻ひもで固定する川崎広人さん。(12月7日撮影、鄭州=新華社記者/張浩然)

【新華社鄭州12月26日】「お墓を用意しておいてください。私はここで骨を埋めるつもりです」。川崎広人さんは中国へ戻るなり、河南省新郷市原陽県で小劉固農場を経営する李衛(り・えい)さんにこう告げた。

川崎さんは、農業と漁業が比較的盛んな日本の岩手県から来た。72歳になるが、中国最大の交流サイトの微博(Weibo、ウェイボ)を使いこなし、今では27万のフォロワーを持つ。多くの中国人が微博を通じて川崎さんを知り、次第に「堆肥」や「循環型農業」の背景などに理解を深めていった。

大学で農業経済学を学んだ川崎さんは、農業研究所勤務を経て、長年にわたり生協で仕事をしてきた。定年退職後の2009年には、中国の青島農業大学に招かれ1年間勤務した。

川崎さんは青島滞在中、中国の多くの農村で家畜の糞便が未処理のまま田畑にまかれ、ときには用水路に捨てられるなど、環境汚染の元になっているのを目撃し、化学肥料や農薬の大量使用によって土壌が固くなり、農作物の品質や生産量にも影響を及ぼしていることにも気がついた。川崎さんは中国で循環型農業を広める決意を固めた。

67歳の川崎さんは2013年、30キロ以上の荷物を背負い中国行脚を始めた。循環型農業の夢を実現できる農場を求め、甘粛省から一路東へ向かったが、奔走するばかりで理想を託せる相手はなかなか見つからなかった。そんな中、知人の紹介でたどり着いたのが李衛さんの農場だった。 

新聞記者だった李さんは、父親の養豚場を引き継いだ時に有機農場への転換を試みたが、少なくない投資を行ったのにもかかわらず市場を開拓できなかった。李さんは、川崎さんの勧めに従い施肥をした農場で予想を超える成長を遂げた小麦を目にすると、川崎さんに同地へ留まるよう頼んだ。

しかし、堆肥のコストが高い上に使いにくく、循環型農業の普及は思い描いていたほど順調には進まなかった。2015年冬、農場のハウス35棟が猛吹雪で倒壊した。損失は甚大だったが、川崎さんが微博で支援を求めると、農場には多くの注文が集まり、数日のうちに7万元(1元=約16円)近くを売り上げた。農薬と化学肥料を使わない農産物は多くの人びとから支持された。一度は破産の危機に陥った農場は、川崎さんのおかげで徐々に好転の兆しをみせた。 

循環型農業の普及が一朝一夕に実現できることではないことは、川崎さんも承知している。農場は全国に向けた研修の取り組みをスタートさせ、また日本の農業企業とも協力するなど、若手就農者の養成を図っている。(記者/張浩然)

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新華網日本語

中国の麦畑に立ち未来を見守る日本人

新華網日本語 2018-12-26 08:37:21


小劉固農場のビニールハウスでトマトの枝を麻ひもで固定する川崎広人さん。(12月7日撮影、鄭州=新華社記者/張浩然)

【新華社鄭州12月26日】「お墓を用意しておいてください。私はここで骨を埋めるつもりです」。川崎広人さんは中国へ戻るなり、河南省新郷市原陽県で小劉固農場を経営する李衛(り・えい)さんにこう告げた。

川崎さんは、農業と漁業が比較的盛んな日本の岩手県から来た。72歳になるが、中国最大の交流サイトの微博(Weibo、ウェイボ)を使いこなし、今では27万のフォロワーを持つ。多くの中国人が微博を通じて川崎さんを知り、次第に「堆肥」や「循環型農業」の背景などに理解を深めていった。

大学で農業経済学を学んだ川崎さんは、農業研究所勤務を経て、長年にわたり生協で仕事をしてきた。定年退職後の2009年には、中国の青島農業大学に招かれ1年間勤務した。

川崎さんは青島滞在中、中国の多くの農村で家畜の糞便が未処理のまま田畑にまかれ、ときには用水路に捨てられるなど、環境汚染の元になっているのを目撃し、化学肥料や農薬の大量使用によって土壌が固くなり、農作物の品質や生産量にも影響を及ぼしていることにも気がついた。川崎さんは中国で循環型農業を広める決意を固めた。

67歳の川崎さんは2013年、30キロ以上の荷物を背負い中国行脚を始めた。循環型農業の夢を実現できる農場を求め、甘粛省から一路東へ向かったが、奔走するばかりで理想を託せる相手はなかなか見つからなかった。そんな中、知人の紹介でたどり着いたのが李衛さんの農場だった。 

新聞記者だった李さんは、父親の養豚場を引き継いだ時に有機農場への転換を試みたが、少なくない投資を行ったのにもかかわらず市場を開拓できなかった。李さんは、川崎さんの勧めに従い施肥をした農場で予想を超える成長を遂げた小麦を目にすると、川崎さんに同地へ留まるよう頼んだ。

しかし、堆肥のコストが高い上に使いにくく、循環型農業の普及は思い描いていたほど順調には進まなかった。2015年冬、農場のハウス35棟が猛吹雪で倒壊した。損失は甚大だったが、川崎さんが微博で支援を求めると、農場には多くの注文が集まり、数日のうちに7万元(1元=約16円)近くを売り上げた。農薬と化学肥料を使わない農産物は多くの人びとから支持された。一度は破産の危機に陥った農場は、川崎さんのおかげで徐々に好転の兆しをみせた。 

循環型農業の普及が一朝一夕に実現できることではないことは、川崎さんも承知している。農場は全国に向けた研修の取り組みをスタートさせ、また日本の農業企業とも協力するなど、若手就農者の養成を図っている。(記者/張浩然)

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