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アフリカ大陸から陜西省藍田へ 古代人類の拡散に残る謎
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-07-16 22:18:08 | 新華社 | 編集: 陳辰

陜西省藍田県上陳遺跡の黄土-古土壌層。(資料写真/朱照宇氏提供)

【新華社西安7月16日】英科学誌「ネイチャー」オンライン版はこのほど、中国と英国の共同研究チームが、中国陜西省西安市の南東約50キロにある藍田県で古人類の遺跡、上陳旧石器遺跡を発見したとする論文を掲載した。遺跡から出土した旧石器は約212万年前までさかのぼることができるという。

論文の筆頭著者の朱照宇氏は13日、記者に対し「今回の研究は藍田地区の古人類遺跡が定説より約50万年古かったことを明らかにした。上陳遺跡はアフリカ以外で発見された古人類遺跡としては最も古いものの一つといえる」と語った。また「人類はどのルートでアフリカから北東アジアに至ったのか。上陳地区では何万年暮らしていたのか。これらの問題は今後の研究で一つ一つ解明する必要がある」と述べた。

この研究は中国科学院広州地球化学研究所の朱照宇研究員や同古脊椎動物・古人類研究所の黄慰文研究員、英国科学アカデミーのロビン・デネル(Robin Dennell)氏、中国の十以上の機関の研究者らが13年かけて完成させた。

藍田県上陳地区は、黄土高原の中でも黄土塬(ゲン、中国西北部の黄土地帯に見られる台状の高地)と呼ばれる地形に属している。ここには黄土層と古土壌層が交互に積み重なり、巨大なサンドイッチのような33層の地層が完全に残されている。朱氏は「ここの黄土-古土壌地層は断面の露出状態が良く、層位も連続している。科学者や考古学者が古代地質や古人類の研究をする上での完璧に近いサンプルといえる」と語り、また「われわれのチームはとても運が良かった。古い土壌層の中から旧石器時代の古人類の痕跡を続けて発見することができた」と述べた。

研究チームは、上陳遺跡の断面上層部の古土壌層から下層に至る20以上の地層から次々と石器を発見した。発表された論文では、約126万年前から約212万年前の更新世初期に属する17層の黄土古土壌層から出土した石器を重点的に取り上げている。

出土した石器には石核や石片、スクレイパー、尖頭器、石鎚、つるはし型石器などが含まれ、同時に哺乳動物の化石の残がいや欠片も見つかった。

科学者らは、黄土-古土壌地層の対比や堆積物の粒度分析、鉱物学の組み合わせ、地球化学成分分析、各種の岩石磁気学的方法、古地磁気年代測定法などの技術を用い、石器が出土した地層の年代を測定、今から約212万年前のものであると断定した。この年代はジョージア(グルジア)のドマニシ旧石器遺跡時代(今から185万年前)より27万年早い。

学術界では現在、アフリカの直立人類は今から180万年前から190万年前の間に世界に拡散したというのが定説となっている。朱氏は「上陳遺跡の発見で、人類がアフリカの出た時期は定説から大きくさかのぼることになった。ヒトの化石がまだ発見されていないので、どの人種がこれらの道具を製作し使用していたのかは特定できない。彼らがアフリカ大陸から数千キロ離れたこの地までヨーロッパ-西アジアのルートで来たのか、東南アジアルートだったのか、あるいはその他のルートだったのか。今後の考古学上の発見が証明していくだろう」と語った。

科学者たちは今後、上陳遺跡の黄土-古土壌の堆積順序や気候環境、人類の生存環境に関する研究を結びつけることで、上陳遺跡での古人類の活動が継続性を伴うものであったかを明らかにし、人類の起源や拡散過程を考察していく。(記者/楊一苗)

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新華網日本語

アフリカ大陸から陜西省藍田へ 古代人類の拡散に残る謎

新華網日本語 2018-07-16 22:18:08

陜西省藍田県上陳遺跡の黄土-古土壌層。(資料写真/朱照宇氏提供)

【新華社西安7月16日】英科学誌「ネイチャー」オンライン版はこのほど、中国と英国の共同研究チームが、中国陜西省西安市の南東約50キロにある藍田県で古人類の遺跡、上陳旧石器遺跡を発見したとする論文を掲載した。遺跡から出土した旧石器は約212万年前までさかのぼることができるという。

論文の筆頭著者の朱照宇氏は13日、記者に対し「今回の研究は藍田地区の古人類遺跡が定説より約50万年古かったことを明らかにした。上陳遺跡はアフリカ以外で発見された古人類遺跡としては最も古いものの一つといえる」と語った。また「人類はどのルートでアフリカから北東アジアに至ったのか。上陳地区では何万年暮らしていたのか。これらの問題は今後の研究で一つ一つ解明する必要がある」と述べた。

この研究は中国科学院広州地球化学研究所の朱照宇研究員や同古脊椎動物・古人類研究所の黄慰文研究員、英国科学アカデミーのロビン・デネル(Robin Dennell)氏、中国の十以上の機関の研究者らが13年かけて完成させた。

藍田県上陳地区は、黄土高原の中でも黄土塬(ゲン、中国西北部の黄土地帯に見られる台状の高地)と呼ばれる地形に属している。ここには黄土層と古土壌層が交互に積み重なり、巨大なサンドイッチのような33層の地層が完全に残されている。朱氏は「ここの黄土-古土壌地層は断面の露出状態が良く、層位も連続している。科学者や考古学者が古代地質や古人類の研究をする上での完璧に近いサンプルといえる」と語り、また「われわれのチームはとても運が良かった。古い土壌層の中から旧石器時代の古人類の痕跡を続けて発見することができた」と述べた。

研究チームは、上陳遺跡の断面上層部の古土壌層から下層に至る20以上の地層から次々と石器を発見した。発表された論文では、約126万年前から約212万年前の更新世初期に属する17層の黄土古土壌層から出土した石器を重点的に取り上げている。

出土した石器には石核や石片、スクレイパー、尖頭器、石鎚、つるはし型石器などが含まれ、同時に哺乳動物の化石の残がいや欠片も見つかった。

科学者らは、黄土-古土壌地層の対比や堆積物の粒度分析、鉱物学の組み合わせ、地球化学成分分析、各種の岩石磁気学的方法、古地磁気年代測定法などの技術を用い、石器が出土した地層の年代を測定、今から約212万年前のものであると断定した。この年代はジョージア(グルジア)のドマニシ旧石器遺跡時代(今から185万年前)より27万年早い。

学術界では現在、アフリカの直立人類は今から180万年前から190万年前の間に世界に拡散したというのが定説となっている。朱氏は「上陳遺跡の発見で、人類がアフリカの出た時期は定説から大きくさかのぼることになった。ヒトの化石がまだ発見されていないので、どの人種がこれらの道具を製作し使用していたのかは特定できない。彼らがアフリカ大陸から数千キロ離れたこの地までヨーロッパ-西アジアのルートで来たのか、東南アジアルートだったのか、あるいはその他のルートだったのか。今後の考古学上の発見が証明していくだろう」と語った。

科学者たちは今後、上陳遺跡の黄土-古土壌の堆積順序や気候環境、人類の生存環境に関する研究を結びつけることで、上陳遺跡での古人類の活動が継続性を伴うものであったかを明らかにし、人類の起源や拡散過程を考察していく。(記者/楊一苗)

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