2020年に月周回軌道に基地を建設する米国の構想に、日本が期待を膨らませている。日本は同計画への参加により、日本人宇宙飛行士の月面上陸という目標を実現しようとしている。しかし高額な費用といったさまざまな問題を残し、日本の計算通りになるかは未知数だ。
3日付産経新聞によると、米国は今年6月、ロシア・欧州・日本と共同で「深宇宙探査ゲートウエー」を構築するという、火星探査構想を掲げた。月に宇宙前哨基地を作ることで、ここを地球から宇宙に進出するための中継地として利用するのだ。その後は毎年4人の宇宙飛行士を派遣し、15−90日滞在させる。この構想は国際協力で技術を蓄積し、2030年代に「深宇宙探査ゲートウエー」を火星飛行の中継地として利用するのが狙いだ。
日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)は早くも、この構想に参加して日本人飛行士の月面着陸を目指す意向を表明していた。佐藤直樹技術領域主幹は、日本人による火星飛行の実現に期待を寄せている。日本側は、「深宇宙探査ゲートウエー」に月上陸が含まれていないが、日本が月上陸の目標を実現すれば、歴史的な一歩になると楽観している。また月で水や鉱産物が見つかれば、中継基地に燃料と建材を提供できる。
来年3月に日本が主催し各国政府が政策を話し合う「国際宇宙探査フォーラム」において、各国が同構想についてどこまで議論を掘り下げ一致に至るかは、日本の同構想への加入を決める決定的な要素になる。「深宇宙探査ゲートウエー」構想が直面している最大のネックは、十数兆円に達する膨大な費用だ。日本はこれほど多くの資金を提供できない。会津大学の寺薗淳准教授は「米国が10年以上に渡り提案してきた月面開発計画のすべてが停止されており、同構想のビジョンを実現するのは困難だ」と判断した。また米国は同計画の具体的な状況を明かしておらず、トランプ政権の態度も不明瞭だ。さらに米国の宇宙政策は変動が続いている。そのため海外は、米国のこの大型計画が本当に実行に移されるかを静観している。
寺薗氏は「日本の宇宙開発では、飛行士の活躍など見栄えのよいことばかり強調され、重要な議論を避けてきた」と指摘。人類の歴史に残る活動だけに、参加には国民的な議論と合意が不可欠だ。
(チャイナネット)
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