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人材獲得に様々な戸籍優遇政策打ち出す中国の二線都市
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2017-08-16 09:07:54 | 人民網日本語版 | 編集: 郭丹

   ▽戸籍取得制度の緩和と完備

   このほど、中国各都市の戸籍に関する戸籍取得政策が次々と打ち出され、「北京、上海、広州を離れる」現象が再び注目の話題となっている。なかでも武漢、長沙、成都、済南などの省都と重点都市は、新卒生を初めとする人材を確保するため、「住宅賃貸で戸籍取得可能」、「就職後に戸籍取得可能」、「住宅購入補助金の支給」といった優遇政策を次々と打ち出している。

   戸籍に関する新しい制度を打ち出した重点都市はいずれも、戸籍取得に対し制限する条件を設けた。例えば、河南省鄭州市の戸籍取得条件には、加入した城鎮社会保険の年限は2年を超してはならないと決められている。また、江西省南昌市は2年以上、合法的で安定した住居(賃貸物件を含む)を有し、かつ城鎮社会保険に加入することを条件としている。

   中国人民大学の国家発展 戦略研究院の研究員で、中国人民大学経済学院副教授の孫文凱氏は、各都市が次々と打ち出している新しい戸籍政策は、中央政府の戸籍改革の大きな枠組みの下で行われており、供給側の構造改革を推進するための具体的な施策でもあると指摘している。

   公共資源分配の不均衡の問題を解決するため、規模の特別大きい都市は戸籍取得条件を設けている。それにより、都市を秩序よく発展させ、モデル転換の実現を可能としている。

   ▽人材を惹きつけるため、次々と優遇政策を打ち出す各都市

   江蘇省南京市は、大学新卒生であれば直接戸籍の取得申請可能という政策を打ち出し、湖北省武漢市は、卒業3年以内であれば、住宅を購入しなくても戸籍の取得申請を可能とし、四川省成都市では、卒業証明書だけで戸籍取得を実現できるとしている。

   また、卒業生に賃貸物件や住宅購入補助金を支給する都市もある。武漢市では、卒業後3年間武漢に就職 居住する住宅を持たない大学生を対象にし、その最長賃貸期間を3年間とした3605部屋からなる大学生人材アパートを建設する計画だ。長沙市は現地で働く大学卒業生に対し、2年間にわたり家賃 生活手当を支給し、手当は最高で年間1.5万元(1元は約16.8円)に達する場合もある。

   更に、ハイレベル人材に対し、各地では巨額を投じて人材獲得を行っている。例えば、厦門市はトップレベルの人材グループには1000万元から1億元までの補助金を支給するとし、杭州市で働く学歴が修士以上または海外からの帰国人材は2~3万元の一時金生活手当を取得するチャンスがあるという。

   ▽戸籍は万能ではない 総合的な政策も必要

   国家統計局が発表したデータによると、2016年の常住人口都市化率は57.35%、前年より1.25ポイント上昇し、戸籍人口都市化率は41.2%と、前年より1.3ポイント上昇した。

   孫文凱氏は、中国の現在の都市化率は中進国との距離がまだ大きいため、これまでの世界の経験からみて、この段階において、人口は依然として大都市に流れ込むだろうと指摘する。そのため、「小都市は開放、大都市は制限」という戸籍政策はかなり長い期間にわたり維持する必要があるとした。

   また孫文凱氏は、その都市に優れた経済条件がなければ、戸籍取得による魅力は激減するとし、特に中国中西部の都市にとっては、同様の政策でもその効果は沿海都市とは比べものにならないとした。

   孫文凱氏は、都市化が更に発展していくにつれて、「呼び寄せ型」の都市化が進む傾向がますます顕著になってきているとし、将来的に老人や子供を都市に呼び寄せ、一緒に移り住むようになることで、都市の公共財政支出のプレッシャーもまた高まることになると指摘。またこのほかに統一的な社会保障も同じく重要な問題であり、合理的な都市管理と計画を進めることで、都市化がもたらすマイナス面での問題を解決していかなければならないとした。

   ▽一線都市は人口増加をコントロール

   今年第1四半期において、杭州、深セン、武漢、西安、蘇州の5都市の人材流入率は全国のトップ5にランクインした。それに対し、北京、上海、広州はトップ10に入ったものの、その人材流入率は多くの二線都市よりも低かった。

   人材が規模の特別大きい都市から二線、三線都市に移動することは、国の人材配置を改善し、中小都市のよりよい発展の促進につながるとする学者もいる。

   孫文凱氏は、「人口増加を抑制する上での作用は大きくないものの、戸籍政策は人口構造の調整に一定の影響力を持つ。専門人材は戸籍があるから北京にとどまっているのであり、出稼ぎに来た農民たちは、戸籍が無かったとしても北京から離れないかもしれない。だが、中間層の人材は、二線都市ならば戸籍取得が可能で、生活のプレッシャーも少ないので、おそらく北京を離れる。それが続くと、北京などの中国の大都市は欧米の大都市と同じく、中間層の人材が不足する事態となるかもしれない」と指摘する。

   また孫文凱氏は、このような現象は市場の規律に従い自発的に形成されるもので、一定の合理性があると分析している。しかし、現在の戸籍制度と改革の構想は、人材の階層化を激化させているため、情勢に適したタイミングで、関連政策に適切な調整を行うべきだとアドバイスしている。

 

(人民網日本語版)

 

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新華網日本語 2017-08-16 09:07:54

   ▽戸籍取得制度の緩和と完備

   このほど、中国各都市の戸籍に関する戸籍取得政策が次々と打ち出され、「北京、上海、広州を離れる」現象が再び注目の話題となっている。なかでも武漢、長沙、成都、済南などの省都と重点都市は、新卒生を初めとする人材を確保するため、「住宅賃貸で戸籍取得可能」、「就職後に戸籍取得可能」、「住宅購入補助金の支給」といった優遇政策を次々と打ち出している。

   戸籍に関する新しい制度を打ち出した重点都市はいずれも、戸籍取得に対し制限する条件を設けた。例えば、河南省鄭州市の戸籍取得条件には、加入した城鎮社会保険の年限は2年を超してはならないと決められている。また、江西省南昌市は2年以上、合法的で安定した住居(賃貸物件を含む)を有し、かつ城鎮社会保険に加入することを条件としている。

   中国人民大学の国家発展 戦略研究院の研究員で、中国人民大学経済学院副教授の孫文凱氏は、各都市が次々と打ち出している新しい戸籍政策は、中央政府の戸籍改革の大きな枠組みの下で行われており、供給側の構造改革を推進するための具体的な施策でもあると指摘している。

   公共資源分配の不均衡の問題を解決するため、規模の特別大きい都市は戸籍取得条件を設けている。それにより、都市を秩序よく発展させ、モデル転換の実現を可能としている。

   ▽人材を惹きつけるため、次々と優遇政策を打ち出す各都市

   江蘇省南京市は、大学新卒生であれば直接戸籍の取得申請可能という政策を打ち出し、湖北省武漢市は、卒業3年以内であれば、住宅を購入しなくても戸籍の取得申請を可能とし、四川省成都市では、卒業証明書だけで戸籍取得を実現できるとしている。

   また、卒業生に賃貸物件や住宅購入補助金を支給する都市もある。武漢市では、卒業後3年間武漢に就職 居住する住宅を持たない大学生を対象にし、その最長賃貸期間を3年間とした3605部屋からなる大学生人材アパートを建設する計画だ。長沙市は現地で働く大学卒業生に対し、2年間にわたり家賃 生活手当を支給し、手当は最高で年間1.5万元(1元は約16.8円)に達する場合もある。

   更に、ハイレベル人材に対し、各地では巨額を投じて人材獲得を行っている。例えば、厦門市はトップレベルの人材グループには1000万元から1億元までの補助金を支給するとし、杭州市で働く学歴が修士以上または海外からの帰国人材は2~3万元の一時金生活手当を取得するチャンスがあるという。

   ▽戸籍は万能ではない 総合的な政策も必要

   国家統計局が発表したデータによると、2016年の常住人口都市化率は57.35%、前年より1.25ポイント上昇し、戸籍人口都市化率は41.2%と、前年より1.3ポイント上昇した。

   孫文凱氏は、中国の現在の都市化率は中進国との距離がまだ大きいため、これまでの世界の経験からみて、この段階において、人口は依然として大都市に流れ込むだろうと指摘する。そのため、「小都市は開放、大都市は制限」という戸籍政策はかなり長い期間にわたり維持する必要があるとした。

   また孫文凱氏は、その都市に優れた経済条件がなければ、戸籍取得による魅力は激減するとし、特に中国中西部の都市にとっては、同様の政策でもその効果は沿海都市とは比べものにならないとした。

   孫文凱氏は、都市化が更に発展していくにつれて、「呼び寄せ型」の都市化が進む傾向がますます顕著になってきているとし、将来的に老人や子供を都市に呼び寄せ、一緒に移り住むようになることで、都市の公共財政支出のプレッシャーもまた高まることになると指摘。またこのほかに統一的な社会保障も同じく重要な問題であり、合理的な都市管理と計画を進めることで、都市化がもたらすマイナス面での問題を解決していかなければならないとした。

   ▽一線都市は人口増加をコントロール

   今年第1四半期において、杭州、深セン、武漢、西安、蘇州の5都市の人材流入率は全国のトップ5にランクインした。それに対し、北京、上海、広州はトップ10に入ったものの、その人材流入率は多くの二線都市よりも低かった。

   人材が規模の特別大きい都市から二線、三線都市に移動することは、国の人材配置を改善し、中小都市のよりよい発展の促進につながるとする学者もいる。

   孫文凱氏は、「人口増加を抑制する上での作用は大きくないものの、戸籍政策は人口構造の調整に一定の影響力を持つ。専門人材は戸籍があるから北京にとどまっているのであり、出稼ぎに来た農民たちは、戸籍が無かったとしても北京から離れないかもしれない。だが、中間層の人材は、二線都市ならば戸籍取得が可能で、生活のプレッシャーも少ないので、おそらく北京を離れる。それが続くと、北京などの中国の大都市は欧米の大都市と同じく、中間層の人材が不足する事態となるかもしれない」と指摘する。

   また孫文凱氏は、このような現象は市場の規律に従い自発的に形成されるもので、一定の合理性があると分析している。しかし、現在の戸籍制度と改革の構想は、人材の階層化を激化させているため、情勢に適したタイミングで、関連政策に適切な調整を行うべきだとアドバイスしている。

 

(人民網日本語版)

 

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