注目を集めている中国版「地方政府指定事業収益債」がようやく表に出てきた。『経済参考報』記者が8月2日に財政部から得た情報によると、中国財政部は先ごろ、プロジェクト収益と融資の均衡が確立できる地方政府指定事業債券の試行に関する通知 (以下、「89号文」と略)を通達した。89号文は、法に定められた指定事業債務限度額内で、地方政府のプロジェクト指定事業収益債の試験的な発行を奨励することを明確化している。
89号文によると、プロジェクト指定事業収益債は省クラスの地方政府により発行される。同通知は、債券の規模、プロジェクト、発行、情報開示、償還責任などを規定。うち債券の規模について、法定限度額の管理を厳格に執行し、各地方のプロジェクト指定事業収益債の発行規模を分類する試験を行い、国務院が認可した当該地区指定事業債務限度額内で統一的に割り振る必要があり、そこには年度指定事業債務限度額の新規増加分と前年末の指定事業債務残高の限度額を下回る分が含まれる。
財政部の責任者は、89号文の通知について、地方政府が法に定められた指定事業債務限度額内で、地方政府性基金収入プロジェクトに基く指定事業債の分類発行を行い、プロジェクト収益と融資の均衡が確立できる指定事業債の発展が目的と説明。並行して、指定事業債とプロジェクト資産 収益が対応する制度の構築を研究し、中国の国情をベースに中国の実状を出発点とする中国版の地方政府プロジェクト「収益債」の確立を目指すとしている。
東方金誠の格付副総監を務める俞春江氏は、『経済参考報』記者に対し、89号文が地方政府にプロジェクトの単一対応もしくは集合対応をするプロジェクト指定事業収益債の試験的発行を許可する一般的な規範文書で、地方政府の指定事業債発行をめぐる初の一般的規範文書として、地方政府の指定事業債を中国版「地方政府プロジェクト指定事業収益債」に大きく前進させるとの見方を示した。現行の地方政府指定事業債とプロジェクト指定事業収益債は、一定期間にわたり併存する見通しだが、新たに発行される地方政府指定事業債は、プロジェクト収益へ対応し、プロジェクト指定事業収益債になる動きが加速するとみている。
中誠信のアナリスト、楊小静氏の見方によると、プロジェクト指定事業収益債発展の潜在力は広大だ。89号文は、プロジェクト指定事業収益債を産業政策に合うもののみとしており、公益性事業のプロジェクトというだけでなく、一定の収益性を持つものと規定。この種のプロジェクトは、政府が供給責任を負い、当初の資金投入が比較的大きいものの将来の需要が安定し、一定のキャッシュフローを生むことが特長となる。具体的には、土地備蓄と道路料金収入のほかに供水、汚水処理、ごみ処理、天然ガス、電力供給などの産業で、将来的に一定の経営収入が見込まれるプロジェクトは、地方政府指定収益事業債を発行することができる。
(チャイナネット)
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