食品価格低迷の影響で、中国の消費者物価指数(CPI)は低水準を維持すると見られる。『経済参考報』によれば、5月のCPIは前月比で低下する可能性が大きい。ただし、昨年の基数が低めであることから、同比での上昇幅が拡大することもある。
5月以来、食品価格は低迷を続けている。中国商務部の発表する週間食料品価格指数では、5月の前の三週では野菜、肉類、卵などの主要農産品の価格は先月比でいずれも下がり続き、中でも野菜の価格は三週連続して下がっている。
この傾向は第四週に入っても止まらず、野菜 豚肉の下げ幅拡大の影響で、食品全体の価格水準も下げ幅が拡大した。なお卵類の市場価格は10年来の最低を記録した。
このため、多くの予測機関は5月のCPIはさらに低下すると考えている。招商証券首席マクロアナリスト謝亜軒氏は次のように述べる、「野菜や卵の価格の下落幅が比較的大きい。豚肉価格は4カ月連続下落している。全体的に見ると、食品価格は依然として弱ぶくみだ。予測では5月の食品価格の前月比上昇幅が-0.9%、非食品価格の前月比上昇幅が0.1%、CPIの前月比上昇幅が-0.1%となる」
海通証券会社のマクロ債券アナリスト、姜超氏も、「5月以来の食品価格は低めに推移している、5月末に至って、商務部と国家統計局発表の食品価格のデータではインフレ率はそれぞれ-1.2%と-0.1%である。このため5月の食品価格は前月比で0.4%低下すると見込まれる」
しかし、姜超氏と謝亜軒氏共に、前年同期の基数の低さの影響で、5月のCPIは前年比で反発して1.6%に至る。また中金会社の首席経済学者梁紅氏は、「食品価格の前年比での下げ幅が狭まり、非食品価格の上昇幅が2.4%から2.5%の水準で推移していることから、CPIは徐々に上昇するであろう。5月CPIの前年比上昇幅は1.5%に拡大するだろう。
交通銀行チーフエコノミストの連平氏は、「5月のタイムラグ水準は先月の0.56%から1.02%に上昇。初期の判断では5月のCPIの前年比上昇幅は1.4%~1.6%前後で、4、5月のCPIは前年比で二カ月連続で上昇となる。しかし、絶対上昇値は低く、依然として2%以下の低レベルで推移しており、しかもタイムラグ要因による影響が大きい」と述べた。
豚肉と卵を代表とする食品価格が低く推移しているのには二つの要因がある。表面的な要因は短期内に需要と供給がアンバランスになったこと。深層的な要因としては、消費者の消費レベルの向上がもたらした消費の構造的変化と経済下降期おける総需要の不足である。
連平氏は、「CPI前年比上昇幅の推移から見ると、6月のタイムラグ水準は今年最高に達するため、来月のCPI前年比上昇幅は依然として高めを維持する。しかし、年の後半は総需要が小幅回復に低下し、政府のレバレッジ解消や金融リスク予防による流動性収縮、市場金利の小幅上昇もあり、CPIの上昇は鈍くなるだろう」と語った。
したがって、今年の中国のCPI前年比上昇幅が中ごろが高く、始めと終わりが低めという趨勢になると予想され、年間にわたって大きなインフレ圧力はない。一方で、CPI前年比上昇幅が大きな下落がなく、デフレ局面に陥ることもありえない。
(チャイナネット)
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