日本銀行は21日の金融政策決定会合で、新たな金融緩和の枠組みを導入した。マイナス金利政策を維持したうえで長期金利の指標となる10年物国債利回りをゼロ%程度に誘導する。物価上昇率が前年比2%を安定的に超えるまで金融緩和を続ける方針も示した。日銀の金融政策は「手詰まり」とみられていたため、この結果は日本の経済界と国際金融市場にサプライズをもたらさなかった。
安倍政権が発足してから、3年半に渡り量的金融緩和政策が実施されてきたが、当初は2年で2%とされていた物価上昇率目標は未だに達成されていない。黒田総裁が着任後に実施した量的緩和政策により、2014年初めに日本経済は一度デフレを脱却し、消費者物価指数上昇率は1%以上となった。しかし14年4月の消費税増税と、今年2月からのマイナス金利政策はデフレを助長する結果となった。
日銀の総括的検証によれば、原油価格の下落、消費税増税、世界経済の減速が2%の目標実現の阻害要因となった。今回の日銀の決定は、日本の金融政策が量的緩和重視から金利調整重視に転換したことを示す。
日銀の新たな枠組みについて、日本国内での受け止め方は様々だ。石原伸晃経済再生担当相は、この政策をポジティブに評価するとともに、「市場との対話が重要であり、日銀側から丁寧に、いろいろな方に対して説明していくことが重要だ」と指摘した。金融市場の反応が最も敏感で、21日午後に日銀が新政策を発表してから、東京株式市場はほぼ全面高となり、日経平均は一時319ポイント上昇する場面があった。うち銀行株は7%、保険株は5.5%、証券株は4.4%の上昇率となった。
しかし、政策効果について懐疑的な専門家もいる。三井住友信托銀行マーケット ストラテジストの瀬良礼子氏は今回の政策について、「さらにわかりづらさが増したような印象を受けた。いろいろな手段を使わなければ金融緩和を続けられないと、日銀が追い詰められているようにも感じる」と指摘した。元日本銀行政策委員会審議委員、現キヤノングローバル戦略研究所特別顧問の須田美矢子氏は、「今回の金融政策が実体経済に与える影響は非常に限定的」としている。
アベノミクスは金融緩和政策と財政出動に過度に依存し日本経済を支えようとしている。一方で、経済の構造改革には力を尽くしていないうえ、革新的な試みも不十分で、これが日本経済の苦境脱出を遅らせている。
(チャイナネット)
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