先ほど就任した日本の稲田朋美防衛相は訪米中の15日、ワシントンのシンクタンクで講演し、米国の南中国海における巡航に日本が協力すると表明した。さらには中国を名指しし、「一方的に南中国海の現状を破壊している」と中傷し、中国に対していわゆる「南中国海の仲裁結果」を履行するよう無理な要求を突きつけた。
中国は日本に対して、域外国の日本は南中国海の係争に介入してはならないと、早くから注意していた。これは中国の譲れぬラインだ。稲田氏のワシントンでの暴言は、中国の我慢の限界を脅かす火遊びだ。
稲田氏はそもそも日本の税理士、弁護士で、戦略・防衛面の背景と経歴を持たない。ただ安倍首相と意気投合したため、今年8月に防衛相として入閣することになった。稲田氏は就任早々、安倍首相の命令により慌ただしくワシントンに駆け付け、ブルッキングス研究所のデビューとなる講演で原稿をそのまま読み上げた。これは明らかに安倍首相の側近が代筆したものだ。しかし稲田氏は質問に回答する際に、「日本は米国と南中国海で共同巡航を行う」と何度も確認した。どうやら安倍政権は南中国海の水をかき乱そうと決心しているだけでなく、ワシントンにまで行き米日同盟が依然として堅固であることを世界に見せつけようとしたようだ。
安倍政権が南中国海の巡航にこれほど執着することには、深いレベルの原因がある。これは日本の国会で今年容認された集団的自衛権の行使、海外派兵の突破口を見出すということだ。南中国海は地理的に日本から最も近く、また盟主である米国の戦略リバランスの重点でもある。安倍首相がこれを手放すわけがない。
米国と日本によって今年6月に騒ぎ立てられた、いわゆる「南中国海仲裁案」は、中国から断固反対された。南中国海の各国は、米国のリバランス戦略に縛られようとしなかった。当事国の態度も沈静化した。フィリピン新政権はいわゆる「南中国海仲裁案」を静かに処理し、中国との二国間協議を行うと表明した。ドゥテルテ大統領も近日中に訪中する。9月上旬にビエンチャンで開かれたASEAN関連のサミットにおいて、いわゆる「南中国海仲裁案」が巻き起こした風と波はほぼ穏やかになっている。中国とASEANは「仲裁案」というページをめくっている。域外の大国には、騒ぎ立てる余地が残されていない。
しかしながら、米日は南中国海の舞台を下りようとしていない。米国はフィリピンに圧力をかけ続け、「南中国海仲裁結果」を堅持するよう求めている。日本はさらにベトナムとフィリピンに、武器を積極的に販売している。稲田氏のワシントンでの発言は、日本の重要な態度表明だ。しかし稲田氏は反面教師の役割を演じることで、南中国海の平和を願っているのは誰か、南中国海を乱そうとしているのは誰かをはっきりさせた。
日本による2012年の「島購入」事件より、中日関係はますます脆弱になっている。安倍首相が先ほど杭州でG20サミットに出席すると、中国は主催国としてもてなした。習近平国家主席は特殊な雰囲気のなか安倍首相と会談し、南中国海問題で「言行を慎む」よう注意した。会談後、中日関係には好転の希望が見え始めた。双方は広島で高級事務レベル海洋協議を行った。しかしその後間もなく、稲田氏の発言が再び二国間関係に打撃を与えた。安倍首相はいったい、何をしたいのだろうか。
米国の稲田氏の講演への反応は微妙だ。米海軍は講演後、稲田氏の発言に評価と支持を表し、「米軍による南中国海巡航への日本の加入を歓迎する」とした。しかし国防総省と国務省は現在まで態度を示していない。G20杭州サミットの会期中に開かれた中米首脳会談の、中米が協力し衝突と対抗を回避するという発言は耳に新しい。オバマ大統領がホワイトハウスを離れる前に、日本という弟分にそそのかされ、南中国海で再び大々的に嵐を巻き起こし、中米対抗というレガシーを作るかは、なかなか判断が難しい問題だ。
稲田氏は結果を顧みない高圧的な発言をしたが、これは何と言っても安倍首相の「野心」であり、実行されるかについては安倍首相の今後の行動を見守らなければならない。安倍政権が本当に「米国との南中国海共同巡航」を実行に移せば、日本はそのため大きな犠牲を強いられるだろう。中国は言ったことはやる国だ。
(チャイナネット)
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