日本の総務省統計局がこのほど発表した「全国消費実態調査」によると、65歳以上の高齢者と29歳以下の若者は2000年より、文化・娯楽面の消費を減らしているが、高齢者の消費水準は安定的で、若者の支出が減少している。
若者が支出に消極的なことは、日本の消費市場の新しい課題ではない。2007年に実施された調査によると、若者の独立を象徴する車・酒・海外旅行という「三種の神器」に対して興味を持つ20代の若者の割合は、5年前の7割から5割に低下していた。この流れは逆転しておらず、現在も続いている。
20年に渡る景気低迷による未来への不安は、日本の若者が支出を避ける重要な原因になっている。デフレにより、日本の企業職員の所得は、この15年間でほとんど増えていない。若者は安定的な正社員になりにくくなっている。25−34歳の若者のうち約3割が、派遣などの形式で就業する非正規雇用者で、2000年と比べ2倍弱に増えている。非正規雇用者の所得は、正社員の6割ほど。高齢化が進むなか、若者が将来的に手にできる年金は、祖父や父の世代を大きく下回る。厚生労働省の試算によると、現在70歳の高齢者が手にできる基本年金の総額は、収めた年金保険料の3.8倍となっているが、20代の若者は1.5倍になるという。
ニッセイ基礎研究所主任研究員の久我尚子氏によると、30歳以下の独身職員の可処分所得と貯蓄額は、バブル時代と比べてやや増えているが、支出は減少している。そのため「若者はお金がない」と単純に結論付けることはできないという。注目すべきは、若者の消費構造に生じている大きな変化だ。20年前の同世代の人々と比べ、現代の若者にとって最大の支出は家賃となっており、衣食や外出が占める比率が低下している。
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏によると、20・30歳代の若者はモノが豊かな時代に成長し、前の世代と比べモノに強い意欲を持っていない。安価な日用消費財が登場し、彼らはより少ないお金で高品質な生活を遅れるようになった。
原田氏は、現在の若者は消費意欲がないわけではなく、SNSをうまく活用し消費意欲を掻き立てる必要があると指摘した。例えば友人から評価してもらうために、わざわざ登山し写真を公開し、人々に旅行を促すこともある。この体験型の消費は喜ばれ、飽きられることもない。
(チャイナネット)
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