日本の安倍晋三首相は国内経済の刺激を目的に、JR東海(東海旅客鉄道株式会社)に資金を投入し、世界初の超電導リニア線の建設を加速する。
しかしながらこの動きは物議を醸した。批判者は安倍首相の目的を疑問視し、建設加速によって国内経済を効果的に刺激することはできず、技術輸出も期待できないとしている。
【加速は困難】
日本メディアの報道によると、アベノミクスが3年後も成果を手にしておらず、かつ英国のEU離脱が市場の不安を引き起こしていることから、日本政府は今月中に総額20兆円の経済刺激案を打ち出すと見られる。うちインフラ整備への支出は約8兆3000億円で、超電導リニア線への財政支援も含まれる。
中央新幹線は北は東京都品川から南の新大阪を結ぶ、世界初の都市間超電導リニア線として、2014年12月に着工された。東京から名古屋までの移動距離は1時間半から40分に、大阪までは2時間25分から1時間7分に短縮される見通しだ。
日本政府は中央新幹線の2期(名古屋〜大阪)の開業を、2045年から2037年に前倒ししようとしている。
しかしプロジェクトの8割以上の区間は、トンネルを掘削する必要がある。うち1本のトンネルは全長25キロ。険しい山の中を通過し、地形が複雑で施工が困難だ。
【目的とは?】
JR東海の経営者と安倍首相のブレーンは、日銀の低金利政策、G20の経済成長促進と財政出動のコンセンサスの形成後、安倍政権がリニア線の建設計画を決定したと話す。
だが、モルガン・スタンレーのベテランエコノミストのロバート・フェルドマン氏は、同計画の経済刺激への影響力を疑問視しており、「私は彼らの見通しを評価するが、財政収入がこれによりどれほど増えるかは疑問だ」と述べた。
富士通研究所のエコノミストのマルティン・シュルツ氏も、「安倍政権は科学技術、インフラなどの投資を拡大する必要があり、超電導リニア線は最良の選択肢だろう。しかし実際には、こうすることで得られるメリットは少ない」と指摘した。
国内市場には限りがあるため、日本は超電導リニア技術と関連設備の輸出を目指している。これは日本経済振興の重要な一環とされている。業界関係者は、「超電導リニア技術は他国がまだ持たない強みのため、輸出が実現できれば日本が将来、世界の高速鉄道市場のシェアを獲得する大きな潜在力になるだろう」と分析した。
しかし別の専門家は、高コストや巨額の投資といった要因により、日本の超電導リニア技術の輸出の将来を楽観視できないと指摘した。
中央新幹線1期プロジェクトの建設予算は5兆5200億円で、中国の高速鉄道の建設費をはるかに上回る。
日本は昨年、インドネシア高速鉄道(ジャカルタ〜バンドン)の入札で、後発者の中国に敗北した。
米アラバマ大学名誉教授の橋山禮治郎氏は「人々が求めているのは超高速ではなく、安全性と利便性、交通のネットワーク化と環境保護だ。短期的に見ると、(日本の超電導リニア線の)輸出の潜在力はゼロだ」と述べた。
(チャイナネット)
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