日本政府が消費増税を延期してからしばらくになる。現状を見る限り、この措置は日本経済にプラスの効果をもたらさず、むしろ日本の財政がより厳しい試練を迎えることになる。
まず消費増税延期により、日本の社会保障改革が深刻な打撃を受ける。消費税は2014年4月に5%から8%に上がり、8兆円の税収をもたらし、社会保障改善の重要な財源になった。次の2%の増税により、4兆円の税収が見込まれていた。そのため政府は、国債発行で支える社会保障の不足に3兆円を充て、残りの税金を所得の低い年金受給者への補助、年金の対象範囲の拡大、介護保険料への補助に充てる予定だった。ところが増税延期により、この計画に乱れが生じた。
次に、推進中の経済改革もこれにより影響を受ける。経済改革は現時点で、すでに一部の成果を手にしている。失業率は3.2%に低下し、完全雇用水準に近づいている。企業の経常利益などの経営指標が新記録を更新し、上場企業全体の資産総額は2015年末時点で840兆円を超えた。しかし国内総生産(GDP)の6割弱を占める個人消費が冷え込んだ。増税が消費成長を阻害したというのだろうか?日本と比較して、欧州各国は消費税率が高い。ましてや日本が初めて消費税を導入した時も、90年代の経済成長にストップがかかることはなかった。そのため消費の長期的な低迷の主因は、高齢化や消費に消極的な若者と言えるだろう。技術革新、財政再建、社会保障の改善により、消費を促進できる。ところがこれらの分野の改革は、アベノミクスの弱点となっている。
それから、増税延期により日本の財政再建計画が一時棚上げになる。日本の債務残高の対GDP比は、1999年に世界一になった。日本政府は財政再建と経済成長を並行させ、2020年に財政黒字を実現し、2018年に財政赤字の対GDP比を1%に引き下げるとしていた。しかし推算によると、日本経済の名目成長率が3%に達し、消費税が10%に引き上げられたとしても、2020年には依然として6兆5000億円の財政赤字が残される。この状況下の増税再延期は、まさに泣きっ面に蜂だ。さらに安倍首相は大規模な財政刺激をほのめかしており、日本の財政再建が一時棚上げされることになる。
日本の問題は、表面化しているものよりも深刻だ。日本の債務残高の対GDP比は2008年の時点で200%を超えており、2012年の債務発行額は税収を上回った。今や政府の支出の4分の1弱が、債務の利息返還に充てられている。さらに高齢化により社会保障支出が毎年7000億ドルのペースで増加している。「2025年問題」(人口の20%以上が70歳以上に)により、既存の社会保障体制が徹底的に崩壊する。世界格付け機関のフィッチ レーティングスは先ほど、日本の見通しを「ネガティブ」に引き下げた。警鐘はすでに鳴らされた。改革の遅れは日本政府にとって、さらに厳しい課題に直面することを意味する。
(チャイナネット)
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