中国が「営業税」から「増値税」へ移行する「営改増」改革の一環として、今年5月から「増値税」の課税範囲を全面的に拡大したことについて、英国メディアは「ここ20年で最も規模の大きい、長期間を要する税制改革を成し遂げた」と評価。今回の改革は政治、経済と密接な関係があると指摘した。
英国の週刊新聞「エコノミスト」(電子版)は6日、中国政府が5月1日から、増値税の課税範囲を商品の販売を主とする業種から、建築、金融を含めたすべての重要なサービス業へ拡大したと伝えた。売上高を基に課税する営業税から増値税へ移行。増値税制に基づき、企業は仕入れ税額控除が認められ、実際に納める税額は軽減されている。
記事は、今回の措置によって中国政府の税収は最大で5000億元減少する分析。一部のアナリストの間で、「経済成長の減速に対応するための財政刺激策」との見方が浮上している。税負担の軽減で企業はより多くの資金を投資に回すことが可能となった。
長期的には、経済にとって税制改革は正しいやり方だ。世界4大会計事務所の一角を占めるアーンスト・アンド・ヤングは、増値税制を採用している140以上に上る国・地域に中国が仲間入りしていると指摘。中国は1994年から、製造業企業を対象に増値税を導入。企業にとって増値税がより合理的な課税方式であることを認めた格好だ。一方でサービス業は対象外。このため、サービス業企業が不合理な競争環境に置かれることを余儀なくされた。工業に頼る経済成長モデルが原動力を失いつつあり、GDP(国内総生産)に占めるサービス業の割合が製造業を上回るいま、税制改革は急務となっている。
記事はまた、20世紀90年代から、中国が打ち出した一連の政策によって、財政収入が中央政府に集中する傾向にある一方、医療からインフラ建設まで大部分の支出は地方政府が負担する仕組みになっていると指摘。収支の不均衡から土地使用権の売却収入に対する地方政府の過剰な依存が生まれ、これがここ数年、各地で大規模の不動産建設が行われた一因とみられている。
地方政府にとって、サービス業は貴重かつ安定的な収入源。サービス業に課される営業税は地方政府に帰属しているためだ。「営改増」改革が推進されるなか、製造業と同様に、サービス業からの増値税も地方が25%、中央が75%の比率で配分されることを地方政府は懸念していた。しかし、新税制で地方政府への配分比率が25%から50%に引き上げられている。また、財政部は交付金などの形を通じ、新税制の導入にともなう地方政府の税収減を防ぐ方針だ。
(チャイナネット)
関連記事: