『日本新華僑報』はこのほど掲載した文章で、今年9月24日に日本の安倍晋三首相が強い経済、子育て支援、社会保障の「新3本の矢」を打ち出しものの、それから3カ月後に総務省が発表した11月の完全失業率が、首相に“冷や水を浴びせる”結果になったと指摘した。
日本の11月完全失業率は前月を0.2ポイント上回る3.3%と、3カ月連続で悪化し、完全失業者数は209万人に上った。完全失業者とは、労働力人口のうち未就業で仕事を探し、仕事があればすぐに就ける状態の人を指す。
特に、35~44歳の就業率が大幅に下がり、男性の就業率は83%から82.4%に、女性は72.7%から71.4%に低下。この世代は親と子を抱える中年に当たるため、失業による家庭への打撃は説明するまでもない。こうした人々が職を失った原因は何なのだろうか?
これについて同文章は、アベノミクスの量的緩和策が中小企業にネガティブな影響を及ぼしたことを第一の要因に挙げた。広く知れ渡っているように、アベノミクス経済の実体は量的緩和で、通貨価値を下げて日本製品の国際的な競争力の向上を図る。日本の円安は、大企業に「春風を浴びるような」状態をもたらす一方、中小企業にとっては「言葉に表せない苦しみ」となる。
帝国データバンクが12月8日に発表したデータによると、円安の影響で中小企業の原材料輸入コストが急増し、卸売業のコストは前年に比べ52.9%増加。衣類・繊維製造業のコスト増加率はそれを上回る71.4%に達した。
製造業、卸売業、小売業の倒産企業数はそれぞれ前年同期比で16.3%増、15.6%増、18.4%増となった。総務省が発表した11月の主な産業別就業者数をみると、小売業の就業者数は16万人減少した。
これらを踏まえると、「中年リスク」に直面するのは大多数が中業企業の社員と推測され、量的緩和策は実質的に「中年リスク」を助長している。しかし、こうした状況にもかかわらず日本銀行は12月、量的緩和の補完措置として、長期国債と国内ETFの買い入れ規模を拡大する方針を発表。第二次世界大戦以降、日本経済の高度成長は多くの中小企業が支えてきた。日本政府がこれを忘れ放置してしまっても、本当に良いのだろうか?
一方で同文章は、日本の中年世代が変化に乏しいとの見方も示す。1990年代のバブル崩壊後、日本の社会には徐々に起業や冒険、変革を避ける雰囲気が形成されてきた。オリックスグループの宮内義彦シニア・チェアマンは、「安定を追求し、変革を行わないようでは、遅かれ早かれ社会に淘汰される」と指摘している。
(チャイナネット)
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