スウェーデンのカロリンスカ研究所はストックホルムで5日、2015年ノーベル医学・生理学賞を中国の薬学者の屠ユウユウ(ユウは口へんに幼)氏ら3人に授与すると発表した。屠氏はマラリア治療に用いられるアルテミシニンの発見者として、賞金の半分を手にした。
アルテミシニンの普及が進む前、全世界では毎年延べ約4億人がマラリアに感染し、100万人以上が死亡していた。感染者・死亡者は貧困地域のサハラ以南アフリカに集中し、多くの死亡者が出ていた。これは彼らが高価なマラリア治療薬を購入できなかったためだ。
今では、アルテミシニンを基本とした複合療法は、世界保健機関(WHO)が推薦するマラリア治療の標準療法となっている。特にマラリアが猛威をふるうアフリカにおいて、アルテミシニンは100万人以上の命を救っている。WHOの統計データによると、2000年よりサハラ以南アフリカの約2億4000万人がアルテミシニンの複合療法を受けており、約150万人がマラリアによる死を免れている。
中国トーゴ医療支援チームの王維忠隊長によると、マラリア治療薬のアルテミシニンは即効性が高く、副作用が少なく、投薬により95%以上の患者が快復する。またアルテミシニンは割安で使いやすく、トーゴの現地人はその治療効果(特に飲み薬の効果)を高く認めているという。
ジンバブエ衛生部門のマラリア対策担当者は、「衛生部門が2010−2013年に実施した追跡調査によると、アルテミシニンを服用したマラリア患者の完治率は97%に達した」と述べた。
ギニア国家マラリア対策部門の伝染病専門家は、「アルテミシニンはクロロキンの治療効果が思わしくない時期に登場した。この薬がなければ、多くの子供がマラリアによって命を落としていただろう。アルテミシニンの発見により、マラリアの衛生問題に対処できるようになった。すべての開発途上国の子供たちは、快復の機会を手にした」と話した。
(人民網日本語版)
関連記事: