米航空宇宙局(NASA)の科学者は最新の衛星観測データに基づき、地球温暖化により今後100−200年間で海面の1メートル以上の上昇が起きるのは避けられないと述べた。
最新の調査結果によると、グリーンランドと南極の氷床が溶けるペースが加速しており、海洋の温暖化と海面上昇のペースもかつてないほどとなっている。
NASAの地球科学専門家は、「海面上昇は世界に深刻な影響を及ぼす。世界で1億5000万人以上が標高1メートル未満の所で生活しており、そのうちの多くがアジアに集中している」と話した。
同氏は、「フロリダ州などの標高の低い米国の州、シンガポールや東京など世界の主要都市が、消滅の脅威に直面している。一部の太平洋の島国は、完全に消滅する可能性がある」と述べた。
NASAの海面上昇研究チームを率いる米コロラド大学のスティーブ・ネレム氏は、「現在分かっていることを考慮すると、まず間違いなく、最低1メートル、もしくはそれ以上の海面上昇は避けられないだろう。状況は将来的により悪化する。極地の氷床が溶けるペースを予測しがたいことが、最大の不確定要素となっている」と指摘した。
前回の大規模な予測は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって2013年に実施された。IPCCは、「世界の研究員は、世界の海面が今世紀末に1−3フィート上昇すると判断している」と報告した。
NASAとフランス国立宇宙研究センター(CNES)は1992年より衛星を使い、海面の測量を行っている。NASAの地球科学専門家は、「これらの計器は感度が高く、高度1万2000メートルを飛行中の旅客機に取り付けた場合、1枚の硬貨が引き起こす軽度の衝突でも感知できる」と述べた。
NASAによると、世界の海面は1992年から現在まで平均7.6センチ上昇しており、一部の海域では23センチ上昇している。これらの水の多くは、溶けた氷と氷河だ。科学者は特にグリーンランドの氷床を懸念している。この氷床からは過去10年間にわたって年間平均3030億トンの氷が流出した。南極氷床からも年間平均1180億トンの氷が失われている。
NASAの海洋学者は、「氷床の溶けるペースは、我々の想像を上回る。今後20年内に、海面はこれまでの平均を上回るペースで上昇するだろう。これに対する備えが必要だ」と警鐘を鳴らした。
(チャイナネット)
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