近頃、ネット上のクラウドファンディングやベンチャーキャピタルファンドなどが相次いでアクションを起こし、人々が創業・革新を実現するための原動力を提供している。人々は、融資の主要ルートである銀行が、もっと多くの資金を投入し、実体経済に新鮮な血液を「輸血」できないものかと期待している。人民日報が伝えた。
国務院はこのほど、「中華人民共和国商業銀行法改正案(草案)」を可決し、銀行の預金残高に対する貸出残高の比率が75%を超えてはならないというこれまでの規定を撤廃し、預貸率をこれまでの法定監督管理指標から流動性監視指標とした。
預貸率の設定から20年あまりが過ぎるが、これまで預貸率は銀行の流動性を保つための重要指標と見られてきた。かつて、銀行がどれだけの額を融資できるかは、どれだけの預金を預かっているかにかかっていた。預貸率75%という「レッドライン」は、銀行の預金額100元に対して、最大でも75元までしか融資できないということを意味し、銀行の過剰融資を防止するためのものだ。
しかし、銀行業務が多元化するにつれ、預貸率は全面的に銀行の流動性を反映するものではなくなり、時には銀行預金の変動性の拡大ももたらしている。たとえば、毎年の歳末、あるいは四半期末、月末に、銀行は監督管理指標を達成するために金利を引き上げ、預金を増やそうとする。これにより、預金の「大移動」が発生する。今回のの預貸率預貸率の上限規定の撤廃は、銀行の束縛を解き放ち、特に一部の中小銀行の融資能力を高め、より多くの資金が実体経済に流入することになる。
預貸率の撤廃は、銀行による資金供給の増加に大きな役割をはたす。しかし、経済のモデルチェンジ・アップグレードに向け、真の意味で「資金枯渇」を解決するには、銀行の融資能力を高める多角的なアプローチが必要だ。実際、銀行の融資能力は預貸率だけでなく、貸付限度額、自己資本比率といったその他の要素の制約を受ける。
一部の伝統的な銀行経営管理モデルは現在すでに、新たな経済・業態の発展に適応できていない。銀行のモデルチェンジが経済のモデルチェンジの歩みについていけていないのだ。
一部の地方はすでに、主要産業を伝統的な製造業から新興のクリエイティブ産業へと転向しているが、銀行のリスク管理は依然として古い見方と古い標準に基づいている。たとえば、企業の収益率や担保資産状況といった財務指標は、製造業には適しているかもしれないが、一部の新型企業は現在の収益よりも、顧客と取引データがもたらす潜在的な収益を重視している。また、「古い指標」で新しい企業を評価することで、判断のずれやミスが起こりうる。最近、クリエイティブ・創業タイプの企業が雨後の竹の子のように出現するものの、銀行から融資を得られる企業が極めて少ないのもうなずける。
このほか、新エネルギー業界の発展も日進月歩の勢いだが、銀行は依然として伝統的な電力・石炭業界を重視しており、新エネルギー業界への重視が足りない。貸付の増加などもってのほかだ。生産能力の過剰な一部の業界にも、多くの「金鉱」が潜んでいる。たとえば、船舶業界は今、苦しいモデルチェンジ・アップグレードの時を迎えている。業界全体が不景気に悩まされているが、業界内には競争力の高く、受注の多い企業も存在する。しかも、不景気な業界は改革を大々的に推進する必要があり、企業間の合併や再編にも強い融資のニーズが存在する。これらの業界をまったく重視しなければ、全ての企業が共倒れになってしまう。これは、優秀な企業に損害を与える行為であり、銀行側も優秀な顧客を失い、市場を失ってしまうこともある。
もちろん、銀行のモデルチェンジ・革新において、リスクを無視してはならない。預貸率が撤廃された後、銀行によるリスクを省みない過剰融資をいかに防止するべきか?これには、監督管理部門が国際的な基準に照らし、一連の新たな指標を確立し、銀行の流動性に対して全面的な監視を行う必要がある。銀行側も穏健な経営を心がけ、実体経済により多くの資金を投入すると同時に、リスクのボトムラインをしっかりと把握し、「血液」を絶えず供給すると同時に、安全性と持続可能性も確保しなければならない。
(人民網日本語版)
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