中国科学院動物研究所の研究者はこのほど、喫煙による肺がんの重要な炎症性因子を発見した。関連する研究成果は、このほど学術誌「Cancer Letters」に掲載された。中国科学報が伝えた。
タバコには5000種の化合物が含まれ、そのうち73種が実験動物と人類に対して発がん性を持つ。喫煙はDNAの損傷と遺伝子変異を起こすが、喫煙による肺がんのメカニズムについては解明されていない。これはがん防止・治療の計画をたてるための前提条件だ。
研究者はタバコの発がん物質「ニコチン由来ニトロソアミンケトン」を使い、健常者の肺の上皮細胞を60日間処理し、84種のサイトカインとケモカインの変化を調べた。その結果、健常者の肺の上皮細胞において、ニコチン由来ニトロソアミンケトンがケモカインの「CCL20」の発現量を増やしたことが分かった。研究者は肺がん患者のがん組織のCCL20発現量を調べたところ、92人の喫煙者のうち発現量が多かった患者は48人に達した。また78人の非喫煙者のうち発現量が多かった患者は29人だった。これはCCL20の発現量と喫煙の関連性を裏付けた。
研究結果によると、CCL20の発現量が多いほど、患者の生存期間が短くなる。細胞・実験動物の中で、ニコチン由来ニトロソアミンケトンはCCL20の発現を誘導することで、肺がん細胞の増殖と転移を促す。抗炎症剤は、CCL20の発現とがん細胞の成長を抑制できる。これらの結果から、CCL20は喫煙による肺がんの需要な炎症性因子であり、がん治療の新たな標的であることが分かる。
(人民網日本語版)
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